きょうは、Webライターが交わす「契約書」について綴ってまいります。
フリーランスや副業で活動しているWebライターの多くは、クラウドソーシングを利用して案件を受注していると思います。
一方で、クラウドソーシングを利用せずに案件を受注している方は、企業と直接契約を結んで仕事を請け負っていますよね。
稼げるWebライターになるには、直接契約の案件を増やすことが有効ですが、契約書についてよくわからない方も多いと思います。
- 「業務委託契約書って何?」
- 「内容がむずかしくて、どこを見ればいいかわからない…」
- 「どのような手順で契約すればいいの?流れや注意点を知りたい!」
契約書があっても、読み方も注意点もわからないままでは、不安になりますよね。
このように感じているWebライターに向けて、業務委託契約書の内容やチェックすべき項目、契約を結ぶ流れや注意点を解説します。
フリーランスや個人事業主として活動するために、知っておきたいポイントをわかりやすく解説しますので、ぜひ一緒に理解しましょう。
フリーランスを守る法律や頼れる相談窓口も紹介しますので、ぜひ参考にしてお役立てくださいね
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業務委託契約書とは?
業務委託契の意味
業務委託とは、企業が仕事そのものを個人や法人に依頼する契約形態のことです。
労働力ではなく、仕事の成果や行動を具体的にしめし、提供を求める契約をいいます。
業務委託契約書の意味
業務委託契約書とは、依頼主である企業から仕事を引き受けるときに交わす契約書のことです。
契約書には、仕事内容や報酬、納品期日や納品方法といった業務に関する事柄だけでなく、著作権や損害賠償などについても記載されています。
業務委託契約書に記載する内容は、法律で決まっているわけではありません。
作成する側が自由に記載できるので、場合によっては、Webライターに不利な条件を書かれていることもあります。
そのため、重すぎる責任になっていないか、トラブルに見舞われたときに対処できるかなどを確認したうえで契約書を結ぶ必要があります。
Webライターが交わす業務委託契約の種類
業務委託契約は、大きく「請負契約」「委任契約」「準委任契約」の3つに分類されます。
フリーランスのWebライターに業務を依頼する場合は「請負契約」か「準委任契約」を結ぶのが一般的です。
ここでは、Webライターに関係のある「請負契約」と「準委任契約」について見てみましょう。
請負契約
- 記事に対して報酬を支払われる契約
- 修正依頼を求められる
請負契約とは、約束した成果物を納品すれば、報酬をもらえる契約のことです。
契約した期間ではなく案件単位による契約、労働時間に対してではなく成果物に対して報酬を支払われます。
成果物に対して報酬を支払われるので、執筆した記事にミスがあるときは、納品後に修正依頼を求められます。
修正依頼を請求されることも請負契約の特徴です。
フリーランスWebライターによくみられる業務は、記事を納品して報酬を受け取る「請負契約」です
実はクラウドソーシングで案件を受注するときも、業務委託契約を結んでいます。
クラウドワークス には、つぎのように記載されています。
当サービスは、クライアントとワーカーが直接業務委託契約を締結することを目的とするサービスです。
当サービス上でご契約いただいた場合は、業務委託契約が締結されている状態となるため、契約書を必要といたしません。メンバー(受注者)とクライアント(発注者)との間で契約条件の同意を取り、サイト上で契約を行うと、その時点でメンバー(受注者)との間で業務委託契約が締結されます。
クラウドワークス「よくある質問」
準委任契約
- 業務の行為に対して報酬を支払われる契約
- 結果に対して責任を問われない
準委任契約とは、依頼された業務の行為に対して報酬をもらえる契約のことです
研修講師、営業代行、時給制のWebデザイン、時給制のWebライティングがあてはまります。
請負契約とは異なり、時間や日割り、回数などで報酬を支払われるのが一般的です。
そのため、依頼する側が本来求める結果を得られなかったとしても、働いた時間に合わせて報酬を支払う必要があります。
種類 | 報酬の対象 | 修正の責任 |
---|---|---|
請負契約 | 成果物 | あり |
準委任契約 | 行為 | なし |
このように、契約形態によって支払われる報酬の対象が異なります。
契約書を交わすときは、どのような形態で契約を結ぶのか、何に対して報酬を支払われるのか、書面の内容を必ず確認しましょう。
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Webライターが業務委託契約書を交わす目的
フリーランスや個人事業主として活動するWebライターは、業務を開始する前に、依頼主と業務委託契約書を交わす必要があります。
なぜなら、契約書を交わさないまま業務をスタートすると、条件が曖昧になり、さまざまな問題が生じるからです。
たとえば、確認する書類がないと「聞いていた内容よりも業務が多い」「思っていた報酬額よりも少ない」と感じたときに、言った言わないの話になり、大きなトラブルに発展するかもしれません。
このような争いを起こさないために、内容を証明する書面を作成して契約書を交わします。
書面に残すことで、依頼主とWebライターはお互いの合意を確認でき、後々のトラブルを防げます。
契約書を交わすときは、文字数や文字単価だけでなく、納品したあとの権利や賠償責任についても確認することが大切です。
不利な内容や納得できない内容がある場合は、依頼を受けない、契約内容を書き直すよう交渉するなどを検討しましょう。
十分に納得したうえで契約を結ぶことで、お互いの権利と義務を保護でき、気持ちよく業務に取り組めます。
不安を感じたときは専門家に相談するなど、アドバイスを求めることも大切です
Webライターが知るべき業務委託契約書15項目
業務委託契約書に記載される内容は、業務の目的や内容、成果物の権利や契約条件についてです。
依頼主や案件によって内容は異なりますが、おもな項目は共通しています。
むずかしい内容ではないので、一つひとつ確認すれば十分に理解できますよ。
では、それぞれ順に見てみましょう。
業務委託契約書のひな形は、厚生労働省「契約書の参考例」で確認できます。
目的・業務内容
契約の目的・業務の内容・業務の範囲を確認する
契約書のはじめには、契約の目的や業務内容、業務の範囲について記載されています。
修正回数や程度、文字数の幅、打合せの回数や場所なども記載されていることがあるので、よく目を通すことが大切です。
業務内容や記事数が毎月変更になる場合は、業務委託基本契約書と個別契約書の2つに分けて交わすこともあります。
報酬・支払い
報酬額・締め日・支払い期日・源泉徴収額・振込手数料を確認する
報酬・支払いの項目では、報酬額について文字単価や記事単価を用いて記載されています。
また、源泉徴収前の金額なのか徴収後の金額なのか、締め日や支払い日はいつか、振込手数料はどちらが負担するか、なども書かれています。
下請法では「納品から60日以内に支払いをする」と定められているので、支払いの記載があるかどうか、期日は適切かどうかを必ずチェックしましょう。
契約期間
契約期間・更新の条件を確認する
契約期間の項目には、業務委託の期間が記載されています。
あわせて、契約後の更新についても具体的な条件が書かれています。
契約を交わすときは、期間や条件についても確認しましょう。
納品方法
納品期日・納品方法を確認する
納品方法の項目には、納品期日や納品方法が記載されています。
記事ごとに期日が記される場合や、長期契約のときは「1年間」のように区切りを設けて記されるこもあります。
また、メールにファイルを添付して納品するのか、Web上の共有フォルダに保存するのか、または指定されたWebサイトに直接入稿するのか、納品方法についても書かれているので忘れずに確認しましょう。
再委託
再委託の可否・注意点・条件を確認する
再委託とは、依頼主から請けた案件をさらに別のWebライターに委託することです。
再委託の項目には、再委託する場合の注意すべき事柄や条件が書かれています。
また、再委託を行なってはならない場合は、その旨が記載されています。
たとえば、記事で使用するイラストを別のフリーランスに依頼する場合は「再委託」にあたります。
再委託するときは、再委託先の「著作権」や「著作物の利用範囲」、依頼主の「守秘義務」をよく確認し、トラブルにならないように注意して行う必要があります。
瑕疵担保
- 責任対応する期間を確認する
- 1か月以上の場合は短くしてもらうように交渉する
瑕疵担保(かしたんぽ)とは、検収後に見つかった、思いもよらない欠陥のことです。
瑕疵担保の項目には、欠陥が見つかった場合に、どのくらいの期間対応するかが記載されています。
たとえば、検収後に記事にミスが見つかった場合、執筆したWebライターは書き直しを求められます。
その際にいつまで請求できるのか、その期間を定めるのが瑕疵担保期間です。
Webライター側は、期間が長すぎないかを確認し、できる限り短くなるよう交渉するのがが望ましいです。
知的財産権
どちらに知的財産権があるのか確認する
知的財産権とは、知的な創作活動によって生み出した創作者にあたえられる「他人に無断で利用されない」権利のことです。
Webライターが執筆した文章も知的財産にあたり、権利をあたえられます。
知的財産権の項目には、Webライターと依頼主のどちらに知的財産権があるのかが記載されています。
基本的には、記事を納品する段階では、執筆したWebライター側が知的財産権を持ちますが、依頼主や案件によって異なります。
納品後に権利を譲り渡す場合は、契約書にその旨が記載されているので、契約を交わすときは、知的財産権についても確認しましょう。
著作権
著作権を譲り渡すのかを確認する
著作権とは、著作者であるWebライターが、執筆した記事を財産として保有する権利のことです。
Webライターの場合は、依頼主である発注先の企業に著作権を譲り渡す場合が多いです。
ただし、Webライターの名前が記名された記事の場合は、著作権を譲渡しないケースもあります。
著作権の項目では、どちらに著作権があるのかを確認しましょう。
著作権についてくわしく知りたい場合は、下の記事で解説していますのでご参考くださいね。
くわしく知りたい
【Webライターが守るべき著作権】注意するポイントと引用のルール
秘密保持(機密保持)
秘密を守る内容を確認する
秘密保持契約とは「NDA」ともいい、業務で知り得た情報を公表せず、秘密を守ると約束することです。
秘密保持の項目には、その内容が記載されていますが、ボリュームがあるので別に「機密保持契約書」を交わすこともあります。
契約解除
- 契約解除の条件を確認する
- Webライター側からも解除を行えるので交渉することが望ましい
契約解除の項目には、契約を解除する条件が記載されています。
たとえば、Webライターが重大な過失や契約違反を犯した場合は、契約を解除できます。
これは依頼主だけでなく、Webライター側からも契約解除を行えます。
依頼主の会社が破産した、連絡がとれなくなった、重大な過失があった場合には契約解除を行えます。
契約解除については、契約先と内容をすり合わせながら決めることが大切です。
発注者の都合で契約を解除する場合は「請負人が仕事を完成しない間は、注文者は、いつでも損害を賠償して契約の解除をすることができる(民法第641条)」と定められています。
中止になった仕事をWebライターに続けさせる必要はないので、このように定められています。
つまり発注者は、Webライターに無駄な労力をさせた賠償として費用を支払えば、理由なく契約解除を行えるというわけです。
たとえば、解除の時点で記事の7割を完成していれば、費用を支払うといった賠償行為を行うことで依頼を取りやめにできます。
損害賠償の方法や金額については、契約書に記載されていることもあるので、よく確認しましょう。
ただし、Webライター側の都合で解除することは原則できません。
発注者が破産したときなどは、Webライターの都合で契約を解除できる場合があります。
損害賠償
- 損害賠償の請求額を確認する
- 上限額を「その仕事の報酬額まで」に設定するよう交渉する
損害賠償の項目には、損害賠償の請求について記載されています。
たとえば、Webライターが納期に遅れてしまい、依頼主が大きな損害を被った場合、賠償金を請求されることがあります。
しかし、請求額については、上限が記載されていないことが多いです。
そのため、金額の上限を確認することが大切です。
記載されていないときは、上限額を「その仕事の報酬額まで」に設定するよう交渉しましょう(参考:IT弁護士.com)。
あらかじめ上限を決めておけば、想像を超える賠償額を請求されることを防げます。
禁止事項
名誉毀損・損害をあたえる行為について確認する
禁止事項の項目には、お互いの名誉を毀損しない、損害をあたえる行為をしないなどの禁止事項が記載されています。
裁判管轄
- どこの裁判所が管轄になるのかを確認する
- 遠いときは近くの裁判所にしてもらうように交渉する
裁判管轄の項目には、訴訟になったときに、どこの裁判所が管轄になるのか記載されています。
万が一トラブルに発展したときは、裁判所まで出向く必要があります。
遠すぎる場合は、大きな負担が生じるので、近場にできないか交渉するのがおすすめです。
反社会勢力の排除
暴力団・暴力団員・政治活動団体と関係がないことを確認する
反社会勢力の排除の項目には、お互いに暴力団や暴力団員、政治活動団体との関係が一切ないことを確認する内容が記載されています。
その他
不利な内容がないかを確認する
その他の項目には、上記以外で記載すべき内容が書かれています。
ここまで紹介した項目のほかにも、不利な内容があるかもしれません。
契約を交わすときは、必ず行える範囲の業務を請け負い、納得したうえで契約を交わすことが大切です。
少しでも不安をや違和感を覚える場合には、契約を断るか、信頼できる専門家に相談することも重要です。
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Webライターが業務委託契約書をチェックするポイント
業務委託契約書は、依頼主である発注者から渡されることが多いです。
この項目では、Webライターが契約書を交わすときに、チェックすべきポイントを見てみましょう。
業務内容・納品方法
案件を受注するうえで、もっとも大切な内容が「業務内容」や「報酬」についてです。
契約を交わしたあとで「話が違う!」という事態になっては困るので、業務内容や業務の範囲、納品方法などをしっかりとチェックすることが大切です。
これらの点を十分に理解し、業務内容について疑問や不明点があるときは、依頼主に確認し、解消するようにします。
また、打ち合わせや取材がある場合は、交通費やホテル代の負担について確認し、どこまで支払ってもらえるのか、内容や条件を明確にするようにしましょう。
報酬・支払い
報酬の金額や支払い方法についても、内容をしっかりと確認します。
報酬の金額と支払いについて確認することは、トラブルを防ぐために非常に重要です。
Webライターの平均文字単価は1.0円なので、最低でも文字単価0.5円以上を目安にし、相場を下回る案件は受注しないようにしましょう。
記事単価で業務を請け負う場合は「1記事あたり何時間かかるのか」「1時間で何文字書けるのか」を自分で計算し、最低賃金(1時間900円前後)を下回らないか確認することが大切です。
必要に応じて交渉し、納得のいく報酬内容のもとで契約を交わすことを心がけましょう。
瑕疵担保の期間
記事を納品し、1年や2年も経過したのちに「記事を修正してほしい」と依頼されても困りますよね。
トラブルを避けるためにも、瑕疵担保の期間は、1か月程度にすることが妥当であり、一般的です。
長すぎる瑕疵担保期間は、Webライターにとって負担になります。
あまりにも期間が長い場合は、短くしてもらうように交渉しましょう。
著作権の所有
依頼主である発注者が契約書を準備してくれる場合、依頼主が著作権を保有する内容になることが多いです。
ただし、できれば自分のブログやポートフォリオ、SNSなどに執筆した記事を載せたいですよね。
勝手に掲載すれば、トラブルに発展する恐れがあります。
自分の成果や実績として記事を使用したい場合は、契約を交わす前に確認し、どちらが権利を保有するのかを取り決めておくのがおすすめです。
損害賠償の内容
万が一、納品物に問題があった場合に、どのような対応や金額を求められるのか、具体的な条件を確認して上限を定めることが大切です。
たとえば、うっかりミスによる過失も含まれるのか、故意や悪質なミスに限定されるのかを確認しておくと、損害賠償の条件を「重大な過失」にしぼることができ、不注意によるミスの賠償請求を抑えられます。
上の項目を明確にしておけば、問題が発生したときに、Webライターと依頼主との間で公平な対応を取ることができます。
不当な責任を負わないためにも、契約書を交わすときは、対応と責任の範囲を確認し、明確な上限を定めるようにしましょう。
Webライターが請求される損害賠償について知りたい場合は、下の記事をご参考くださいね。
くわしく知りたい
Webライターが損害賠償を請求されるケースとは?対策とおすすめの保険2選
Webライターが業務委託契約を結ぶ流れ
では、Webライターが業務委託契約を結ぶ流れを見てみましょう。
つぎの5つのステップで解説しますね。
- STEP1業務を依頼される
- STEP2契約条件を交渉する
- STEP3契約書の作成に移る
- STEP4契約書に同意する
- STEP5業務を開始する
業務を依頼される
依頼主である発注者から執筆を依頼されたら、Webライターに何を求めているのか、具体的な業務内容や納品期日、報酬などの条件を確認します。
契約条件を交渉する
依頼された業務内容や報酬を確認したら、契約する条件について話し合います。
報酬金額や支払いのタイミング、著作権の所有、賠償責任の上限、機密保持などについて要望があるときは、契約書を交わす前に提案や交渉を行います。
とくに、賠償責任の範囲が無制限になっていないかを確認し、Webライター側が不利にならないように明確な上限を提案することが大切です。
ここで取り決めたことをもとに契約書を作成されるので、気になることは残さずに話し合い、疑問を解消するようにしましょう。
契約書の作成に移る
お互いが契約条件に合意したら、発注者またはWebライターのどちらかが契約書を作ります。
契約書には、STEP2で合意された内容がくわしく記載されます。
多くの場合、発注者が契約書を作成することが一般的です。
もしも契約書を提示されないときは、こちらから用意しても構わないかを確認しましょう。
契約書の作り方がわからなくても、テンプレートを利用すれば、簡単に作成できるので心配は要りません。
おすすめのサイトは、豊富なテンプレートを提供している「bizocean(ビズオーシャン)」です。
クラウド会計ソフト「freee(フリー)」や「マネーフォワード クラウド確定申告 」を利用している方は、こちらの電子契約書を利用することもおすすめです。
くわしく知りたい
Webライターにおすすめの会計ソフト4選【2023年最新】
先の項目で紹介した「Webライターが知っておきたい契約書15項目」の内容をもとに、個別の案件に即した条項を盛り込み、内容を調整するとよいでしょう。
「業務委託契約書の作成がはじめてで不安…」「契約の金額が多い」と感じるときは、弁護士などの専門家にアドバイスをもらうと安心です。
具体的な相談窓口にについては、後ろの見出し「Webライターが頼れる相談窓口」で紹介しますね。
「ココナラ 」に依頼して、専門家に業務委託契約書を作成してもらったり、チェックしてもらったりすることもできますよ
契約書に同意する
業務委託契約書が完成したら、記載された内容を確認します。
万が一トラブルが起きたときは、業務委託契約書が重要な証拠になるので、しっかりと内容をチェックしましょう。
契約書を確認し、問題がなければ署名・捺印して契約を結びます。
問題がある場合は、修正を行う必要があるので、ふたたび話し合います。
「取り決めた内容と相違ないか」「自分に不利な内容に修正されていないか」を一つひとつ確認し、納得したうえで契約書を交わすことが大切です。
業務を開始する
契約書を交わしたら、委託業務契約書の内容にしたがって執筆を開始します。
署名・捺印した契約書は、依頼主とWebライター側で一部ずつ保管するように決められています。
最低でも5年以上保管し、すぐに取り出せるよう、専用のファイルに収めるのがおすすめです。
Webライターが直接契約を結ぶ流れや注意点を知りたい場合は、下の記事をご参考くださいね。
くわしく知りたい
初心者Webライターの効果的な仕事の取り方!7つの探し方を解説
では、業務委託契約書の内容を理解できたら、つぎは、フリーランスに関わる法律について見てみましょう。
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下請法を知ろう!フリーランスを守る法律
下請法(したうけほう)とは、規模の大きな企業が小さい企業と請負契約するときに、不当な扱いを受けないために定めた法律のことです。
フリーランスで働くWebライターの資本金が1000万円を超えない場合、発注先の資本金が1000万円を超える場合には、下請法の対象になります。
下請法の発注者4つの義務
下請法が適用されると、発注先は、フリーランス・個人事業主に対して、4つの義務を行う必要があります。
契約書を交わすことは、弱い立場であるWebライターを守る心強い武器になります。
トラブルになったときも証拠として利用でき、争いを避けられます。
Webライターの仕事をするときに、契約書を交わさずに執筆を開始すると違反になります。
必ず、書面を交わしたうえで業務をスタートするようにしましょう。
下請法の発注者11の禁止行為
下請法では、発注者につぎの11の行為を禁止しています。
上の禁止行為は、発注者が取り引きをするうえで強い立場を利用して、一方的に不利な状況を作ってはならないというものです。
たとえば「書面を交付する義務」を行わない場合には、違反した依頼主である本人と所属する会社が罰則を受け、最高で50万円の罰金を科されます。
下請法についてくわしく知りたい場合は、下の記事で解説していますのでご参考くださいね。
くわしく知りたい
下請法とは?フリーランスWebライターの契約をわかりやすく解説
Webライターにおすすめの損害賠償保険2選
続いて、Webライターにおすすめの損害賠償保険を2つ紹介しますね。
損害賠償保険に加入すると、万が一トラブルに見舞われたときも、無料で補償を受けられるので安心です。
Webライターが損害賠償を請求されるケースを知りたい場合は「Webライターが損害賠償請求されるケースとは?対策とおすすめの保険2選」をご覧くださいね。
FREENENCE(フリーナンス)
「FREENANCE(フリーナンス) 」は、GMOクリエーターズネットワーク株式会社が提供する、フリーランスのためのお金と保険のサービスです。
「納期に遅れる」「情報を漏洩する」「著作権を侵害する」などの損害で賠償金を請求されたときに、無料で補償してくれます。
損害賠償以外にも、所得補償・資金繰り・感染症保険などのサービスを受けられます。
年会費 | 0円 |
あんしん補償 (賠償責任保険) | 0円 |
所得保障保険 | 月額500円 |
「FREENENCE」を利用するには、フリーナンス口座と呼ばれる、発注先から報酬額を受けとる口座を無料で開設する必要があります。
フリーナンス口座に入金された報酬額は、Webライターが指定した銀行口座に無料で振り替えられます。
つまり、請求・入金にフリーナンス口座を通すことで各種保険の特典を受けられる仕組みです。
損害賠償の補償額は、種類によっては最高5,000万円、期間中の限度額は5億円に設定されています。
これらの補償をすべて無料で利用できるので、個人で活動するWebライターに非常におすすめです。
「FREENENCE」の特徴や補償内容は、下の記事でくわしく解説していますのでご参考くださいね。
くわしく知りたい
FREENANCE(フリーナンス)を利用すべき?保険の特徴や評判を解説
フリーランス協会
「フリーランス協会」は「誰もが自律的なキャリアを築ける世の中へ」というコンセプトのもとに運営される非営利団体です。
Webライターやデザイナーなど、フリーランスのためのコミュニティや求人サービスを取り扱っています。
一般会員になると、賠償責任補償や福利厚生、弁護士依頼サービスなどを受けられます。
年会費 | 10,000円 |
保険内容 | 賠償責任保険 報酬トラブル弁護士費用保険 所得保障保険(任意) |
損害賠償の補償額は、補償内容によって最高1億円、期間中の限度額は10億円に設定されています。
フリーランス協会の賠償請求保険は、大手保険会社4社による共同保険のため、一般会員だけでなく発注先の企業も補償の対象になります。
そのため、安心して仕事を依頼してもらえる点もWebライターにとってメリットになります。
Webライターが頼れる相談窓口6選
下請法に違反するような扱いを受けた場合でも、発注先との関係から、泣き寝入りするケースが数多くあります。
不当な要求をされている、どうしていいかわからないときは、ひとりで悩まずに専門家に相談しましょう。
無料で相談できる窓口を6つ紹介しますね。
フリーランス・トラブル110番
「フリーランス・トラブル110番」は、フリーランスのための弁護士相談窓口です。
厚生労働省の委託事業で行っており、無料で相談に乗ってくれます。
電話・メール・対面・ビデオ通話による相談ができ、匿名でも相談できます。
当事者の間に入って和解の調整をする「和解あっせん」まで無料で行ってくれるので、トラブルが起きたときは「フリーランス・トラブル110番」に相談するのがおすすめです。
法テラス
「法テラス」は、法務省が運営する「法的トラブル」を解決する案内所です。
サポートダイヤルに電話すると、専門のオペレーターが相談内容に応じて適切な法制度や相談機関、団体を紹介してくれます。
もちろん利用料は無料です。
全国各地に事務所があり、各県庁所在地には支部や出張所も配置しているので、面談による相談も可能です。
※民事法律扶助制度:経済的に余裕のない人が法的トラブルに遭ったときに受ける援助制度のこと
Webフォームからのお問い合わせもでき、内容に応じて法律や制度の紹介をしてくれたり、適切な窓口の案内を電子メールで送ってくれたりします。
ただしメールでは、個別の事案に対するアドバイスを受けることができません。
サポートダイヤルに電話して、確実な解決策を求めるのがおすすめです。
下請かけこみ寺
「下請かけこみ寺」は、公正な下請け取り引きの推進を目的に、中小企業庁が全国48か所に設けた機関です。
取り引き上のトラブルを専門の相談員や弁護士が無料でサポートしてくれます。
トラブルの相談や助言、交渉の仲介、紛争の解決など、価格交渉や調停による解決を任せることができます。
電話・オンライン・対面による相談を行えます。
オンライン相談や対面相談を希望する場合は、ホームページにアクセスして「申し込みフォーム」から事前に予約する必要があります。
さらに「下請かけこみ寺」では、相談だけでなく、無料の和解調停の手続き(ADR)も行っています。
裁判とは異なり非公開に行われるため、調停の過程や内容は当事者以外に知られることなく、円滑な解決を図れます。
よろず支援拠点
「よろず支援拠点」は、国の機関「独立行政法人中小企業基盤整備機構」が設置した無料の経営相談所で、各都道府県に1か所ずつ支援拠点を設けています。
中小企業、個人事業主などの小規模事業者に対して、さまざまな支援や相談窓口を提供しています。
経営上のあらゆる悩みを相談でき、その分野の専門家がフォローしてくれます。
相談回数に制限はなく、何度でも無料で相談できます。
最寄りの支援拠点のホームページを確認し、電話やメールで問い合わせると、コーディネーターが話を聞いてくれ、適切なアドバイスで支援してくれます。
ひまわりほっとダイヤル
「ひまわりほっとダイヤル」は、日本弁護士連合会・弁護士会が提供する、電話で弁護士との面談予約ができるサービスです。
全国共通電話番号に電話をすると、折り返しの電話で弁護士との面談を予約できます。
オンライン上で「申込フォーム」から申し込みをすることも可能です。
初回30分の相談を無料で行えます。
30分以降の相談料については、初回相談時に担当弁護士にお問い合わせくださいね。
「ひまわりほっとダイヤル」では、契約書の作成やチェックなども行ってくれます
公益財団法人日本税務研究センター
「公益財団法人日本税務研究センター」は、税理士会による相談窓口です。
研究者や実務者、税理士をはじめ、一般に向けて税務に関する役立つ情報を提供しています。
相談窓口では、税理士が税金についての疑問や質問に答えてくれます。
無料で電話相談できますが、匿名による相談は受け付けていないため、氏名を伝える必要があります。
もちろん、個人情報は適切に保護されているので安心して相談できますよ。
ただし、一般的な税務についての質問や法律上の規定に関する質問しか受け付けておらず、個別の事案に関する相談はできません。
財務処理や確定申告の手続きなど、具体的な情報を得たいときに頼るのがおすすめです。
おさらい:業務委託契約書の注意点や見るべきポイント
契約書は、発注者とWebライターの権利と義務を定めたものであり、トラブルを防ぐために必要な文書です。
業務を開始するときは、業務委託契約書をよく読み、納得したうえで契約を結ぶことが大切です。
契約書の内容に不安を感じるときは、疑問を解消したうえで契約を結ぶように心がけ、容易にサインしないように気をつけましょう。
無料の相談窓口で専門家に相談できるので、ひとりで悩まずに話を聞いてみることも検討してみてくださいね。
Webライターとして活動していると、トラブルに巻き込まれるリスクを抱えます。
よくあるトラブルを知りたい場合は、下の記事もあわせてご覧くださいね。
おしまいに
「契約書」と聞くと、厳格なものを想像してしまいますが、しっかり目を通せば、Webライターの働き方を守ってくれる強い味方になります。
Webライターを守るだけでなく、発注者との関係を円滑に保つのに役立つので、遠慮なく話し合い、内容を明確にしたうえで契約を結びましょう。
最後までお読みいただきまして、ありがとうございます。
それでは、ごきげんよう。
桜御前