きょうは、フリーランスに向けて屋号の知識や決め方について綴ってまいります。
- 「開業届に記入する欄があるけど、屋号って何?」
- 「屋号はいつ、どのようなときに使うの?」
- 「個人事業主になると、必ずつけないといけないの?」
フリーランスになるときに、屋号を持つべきかどうか迷う方もいると思います。
屋号は、つけたほうがメリットにありますが、つけるにしても、どのように決めたらいいか迷いますよね。
今回の日記では、屋号をつけるときのポイントや注意点、屋号の基礎知識を解説します。
成功している屋号の例も紹介しますので、屋号のつけ方を知りたい方は、ぜひご参考くださいね。
屋号とは何かを理解でき、つけるべきかどうか最適な判断ができますよ
ペンネームのつけ方を知りたい場合は「Webライターのペンネーム決め方7選と7つのポイント!」をご覧ください。
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屋号とは?フリーランスのWebライターに必要?
屋号とは、個人事業主が仕事で使用する「事業の名前」のことです。
本名とは別の名前で仕事をしている場合には、その名が屋号になりますし、お店を経営している場合には、店名が屋号になります。
無理につけなくてもよい
開業届や確定申告書に屋号を記入する欄があるので、フリーランスのなかには、必ずつけなければならないと思っている方もいるでしょう。
しかし屋号は、自分が独立して事業を行っていることを相手に伝えるための名前なので、無理につける必要はありません。
屋号を持つことでプロの印象をあたえたり、信頼や安心感をあたえたりするメリットもありますが、必須ではないので自由に選択できます。
開業届を出すときや確定申告書を提出するときは、屋号を記入せずに、空欄にすれば手続きできるので、何の問題もありません。
もちろん、実名で仕事を受注することもできますよ。
屋号を使う場面は多い
フリーランスが屋号を使うときは、自分を名乗る以外にも、さまざまな場面があります。
具体的には、つぎのようなときに使います。
上のように、おもにビジネス活動を行うときに使用します。
自分の職種や事業内容にふさわしい言葉を入れて、覚えてもらいやすい屋号をつけることが多いです。
では、もう少し具体的に屋号について掘り下げてみましょう。
フリーランスが知っておきたい屋号の基礎知識
では、フリーランスが屋号をつけるときに知っておきたい基礎知識を解説します。
本名やペンネームも屋号に使用できる
個性を際立たせる屋号をつけられる
本名をそのまま屋号に使うこともできます。
自分の名前をブランドとして積極的に売り出したい場合には、とても良いビジネス戦略になります。
もちろん、旧姓も使えます。
旧姓でキャリアを積んできた方は、名前を変えずに仕事を続けたいでしょう。
旧姓を屋号に用いて活動すると、顧客とのつながりや信頼をそのまま引き継ぐことができ、非常に便利です。
また、ペンネームを屋号にすることも可能です。
WebライターやWebデザイナーなど、特定のスタイルやイメージをあらわしたい方や、個性を際立たせたい方は、ペンネームを屋号にするとよいでしょう。
自分のニックネームを屋号にしたり、ニックネームと職業名を組み合わせて屋号にしたりと、個性を引き立てながら事業に適した名前を選択できます。
屋号は途中で変えてもよい
特別な手続きが要らない
屋号はいつでも変えることができ、特別な手続きは必要ありません。
確定申告をするときに、新しい屋号を記入して提出すれば変更できます。
もし、屋号を変えたことを記録に残したい場合は、開業届をふたたび提出して「その他参考事項」欄に「屋号の変更」と記入すると履歴に残ります。
ただし、屋号を変更すると「問題を起こしたために屋号を変えるのでは?」と疑念を持たれたり、これまでの信用をなくしたりするので、慎重に検討する必要があります。
複数の屋号を使い分けできる
いつでも追加登録できる
複数の事業を運営する場合は、それぞれの事業に異なる屋号を使用できます。
いつでも追加登録できますし、その逆に、1つの屋号で複数の事業を展開することも可能です。
たとえば、Webライターをしている人が、新たにカフェをオープンする場合、Webライター業とカフェ事業、それぞれに異なる屋号をつけたほうが認識しやすいですよね。
同じ屋号で異なる事業を展開すると、発注先や顧客に混乱をあたえる可能性があります。
新しい屋号を追加するときは、改めて開業届を提出すると登録できます。
屋号欄に屋号とフリガナを記入し「その他参考事項」の欄に「屋号の追加登録」と書き加えれば手続きの完了です。
複数の屋号を使い分けたとしても、確定申告は個人の名前で行うので、屋号の欄にまとめて屋号を記載すれば終わり、余計な手間が増えることもありません。
開業届は「開業freee」を利用すると無料で簡単に作成でき、手続きも無料ですぐに登録できます。
開業届の書き方や登録するメリットを知りたい場合は、下の記事でわかりすく解説していますのでご参考くださいね。
くわしく知りたい
【Webライター開業届の書き方】提出するメリット・デメリットも解説!
開業freeeの口コミ・デメリットは?作成の流れを完全解説!
店名と屋号は同じでなくてもよい
店舗名や事務所名と異なる屋号にしても問題ない
屋号は、事業に対してつける名前なので、店舗名や事務所名と異なる屋号にしても問題ありません。
必ず同一にしなければならない決まりはないので、まったく関係のない屋号にしても登録できます。
ただし、発注先や顧客に覚えてもらうには、店名と屋号が一致しているほうが認識しやすくなります。
複数の事業を展開するときは、何をアピールしたいかを考えて屋号をつけるとよいでしょう。
屋号に英数字を入れてもよい
日本語・英数字・記号を使える
屋号をつけるときは、漢字だけでなく、ひらがな・カタカナ・アルファベット・数字・記号も使えます。
アルファベットを入れた屋号は、ユニークで独自性が高く、すぐに覚えてもらえる利点があります。
とくに、若い世代の場合、英数字を好んで使うフリーランスの方が増えています。
顧客に若い年代が多いなら、今風の屋号にすると親しみやすさを感じさせるかもしれませんね。
ただし、屋号に記号を入れるときは注意が必要です。
個人事業から法人化する場合、屋号をそのまま商号にしても問題ありません。
しかし、商号登記のルールに使用できない記号があり、下の7種類しか登記できないので、屋号をつける段階でよく検討する必要があります。
参照:法務省「商号にローマ字等を用いることについて」
屋号はビジネスの印象を大きく左右するので、インパクトがありつつも、顧客層に適した屋号を選ぶことが成功の秘訣です。
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フリーランスのWebライターが屋号をつけるメリット5つ
フリーランスは、屋号をつけるかどうかを自由に選択できます。
つぎは、屋号をつけると、どのようなメリットがあるのかを見てみましょう。
相手からの信用が高まる
屋号をつけると、他者からの信頼を得られるメリットがあります。
個人名で活動すると、何をしている人なのか伝わらずに「専門の業者なのかな?」と相手に疑念を抱かせる可能性があります。
一方で、ひと目で事業内容がわかる屋号にすると、専門に扱っているプロの業者として認識されて信頼が高まるので、依頼や契約を得やすくなります。
少しでも仕事を獲得できるWebライターになりたいと考えるなら、屋号をつけるのが賢明です。
本名を出さずに活動できる
事情によっては、できるだけ本名を使わずに活動したいこともあるでしょう。
そのような場合でも、屋号を使えば、ほとんど本名を明かさずに活動できます。
本名を明かして事業を行うと、SNSや自宅住所など、個人情報を特定されるリスクが伴います。
個人のプライバシーを保護する意味でも、私生活の安全を守る意味でも、屋号で活動することは大きなメリットになります。
何をしているのか伝わりやすい
自分が何をしているのか、相手に一瞬で伝えられることも屋号をつけるメリットです。
仕事内容を認識できる屋号をつけると、どのような事業をしているのか、どのようなスキルを持っているのか伝わりやすくなります。
たとえば「執筆屋さくら」「桜ライターワーク」のような屋号をつけると、見た瞬間に何の仕事をしているのか、すぐに理解できますよね。
よほど知名度が高くなければ、個人名のみでは、事業内容が伝わらないことがほとんどです。
関連する屋号をつけることで、どのようなサービス、どのような商品を提供しているのか、あらゆる人にあなたの事業を伝えられます。
そのため「この人に執筆をお願いしようかな」「記事作成ならあの人に任せたいな」と直感的に思ってもらえる屋号をつけるのがおすすめです。
また、インターネット検索から調べて依頼されることも多いので、検索されやすいキーワードを入れることも効果的です。
相手に覚えてもらえる
発注先の印象に残りやすく、覚えてもらえやすいことも、屋号をつけるメリットです。
個人名だけでは、なかなか相手の記憶に残らず、思い出してもらうのは困難ですよね。
1回会って名刺を交換したくらいでは、なおさらすぐに忘れられるでしょう。
しかし、特徴的な屋号をつければ、会話の中で話題になったり「なぜこの屋号にしたんだろう?」と強く印象を残せたりします。
記憶に残れば、思い出してもらうチャンスも増えるので、仕事を取れる確率も一気に高まります。
事業の口座を管理しやすい
屋号をつければ、お金の出入りや資金管理がしやすくなります。
なぜなら、屋号を用いて事業用の銀行口座を開設できるからです。
事業用の口座を持つと、プライベートとビジネスによる収入と支出を明確に区別できるので、資金管理が容易になります。
また、取引先に銀行口座の情報を伝えるときも、個人名の口座より、事業用の口座を伝えるほうが信用度が高まります。
ストレスなくお金を管理でき、発注先からの信用も高まるので、最大のメリットとも言えます。
「屋号を持つのも抵抗がある…でも事業用の口座を持ちたい!」と感じるときは、フリーランスのための無料の保険「FREENANCE(フリーナンス) を活用するのがおすすめです。
無料で口座を開設でき、無料で保険も利用できるので、万が一のトラブルにも安心して備えられます。
くわしい内容は下の記事で解説していますのでご参考くださいね。
くわしく知りたい
FREENANCE(フリーナンス)特徴や評判!無料で安心の保険
では、屋号について大まかに理解できたら、つけるときのポイントや注意点を見てみましょう。
フリーランスが屋号をつけるときの注意点
屋号を決めるときは、読みやすさ・呼びやすさ・覚えやすさを重視することがポイントです。
明るい印象や好感を持たれる名前にすると、相手に親しみやすさを感じさせます。
屋号を決めるときの注意点やポイントは、つぎのとおりです。
「こんな屋号はNG」と注意を払う点を解説しますので、ぜひご参考くださいね。
法人をしめす屋号をつけない
「会社」「法人」「銀行」の言葉を入れない
フリーランスは個人事業主にあたるので、屋号に「株式会社」「会社」「法人」など、法人や組織をあらわす言葉を使うことはできません。
また「銀行」「信用金庫」「証券」なども使えません。
「Inc.」「Co.」「Ltd.」なども同様に使えないので注意しましょう。
商号登記されている名称をつけない
屋号をつける前に調べてかぶらないようにする
本名で活動していれば、どこかに同姓同名の個人事業主がいることもあり、すでにほかの人が使用している屋号と同じ屋号になることもあるでしょう。
その場合は仕方ないことなので、咎められることもなく、問題なく使用できます。
しかし、すでに商号登記や商標登録されている名称と屋号がかぶったときは、紛らわしい名称をつけたと見なされ、商標権侵害で損害賠償を求められることがあります。
不正競争防止や商標法などの違反で、訴えられるリスクを回避するためにも、はっきりと差別化するほうが安全です。
屋号をつける前に、インターネットや法務局の「法人番号公表サイト」で検索して、同じような商号や商標が登録されていないか、また、同一地域に同じ店名や似たような店名がないかを調べておくことが重要です。
参照:法務省「オンライン登記情報検索サービスを利用した商号調査について」
「商号」や「商標」の内容や違いについては、後ろの見出しでくわしく説明しますね。
長すぎる屋号をつけない
簡潔でシンプルな屋号のほうが覚えやすい
屋号の長さに決まりや制限はありませんが、長すぎる屋号は好ましくありません。
覚えにくかったり発音しにくかったり、また書きにくかったりと不利になることが多いからです。
覚えやすい文字数は、3~4文字とされています。
よほど語呂や語感がよく、興味を惹く屋号でない限りは、簡潔でシンプルな名前にするようにしましょう。
同じ住所の家族で同じ屋号を使わない
別の事業者であることを明確にする
同じ住所に住む家族が個人事業主になるときは、同じ屋号にしないように注意しなければなりません。
屋号を同じにしてしまうと、税務署から二重帳簿を疑われます。
たとえば、自宅を事務所にしており、同居する家族も別の屋号で事業を展開している場合、それぞれの個人事業主が賃料や光熱費を控除していると、税務署から二重帳簿の疑いをかけられます。
同じ住所で複数の人が開業する場合には、屋号を別々にするなどして、別の事業者であることがわかるようにすることが大切です。
では、つぎに「屋号」「商号」「商標」の違いについて紹介しますね。
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フリーランスが間違えやすい屋号・商号・商標の違い
屋号と間違えやすいものに「商号」と「商標」があります。
商号と商標を知らないと、誤って法律違反を犯すことになるので、その違いを説明しますね。
それぞれの違いを表にすると下のようになります。
/ | 何の名称か | 必須か | 法に守られているか |
---|---|---|---|
屋号 | ・事業 | 自由 | × |
商号 | ・会社 | ・個人事業主は自由 ・法人は必須 | 守られている |
商標 | ・商品 ・サービス | 自由 | 守られている |
上のように「屋号」「商号」「商標」は、何につける名称かによって分類できます。
「屋号」「商号」が事業や会社につける名前に対して「商標」は商品やサービスにつける名前です。
「商号」「商標」は法律で守られているため、同じ名称を屋号につけると法律違反になるので注意が必要です。
自分のつける屋号が、ほかの人の屋号と被ったとしても問題はありませんが「商号」「商標」と被ると訴えられる可能性があるので、事前に調べて慎重につける必要があります。
法的に認めてもらうには商号登記が必要
フリーランスが屋号を登録するときは、開業届の屋号欄に記入して税務署に提出すると手続きできます。
ただし、税務署で登録しただけでは、法的な効力を得られません。
屋号に法的な効力を持たせるには、法務局で商号登記をする必要があります。
法務局で商号登記すると、その場所で事業を営んでいる事業主である、法的な証明を得られます。
屋号のままだと、ほかの人が同じ屋号を名乗る可能性がありますが、商号登記すると同一所在地で同一の商号を使うことができないので、ほかの屋号や商号とかぶることがなく、第三者からの信用を得られます。
自分の屋号を守れるだけでなく、銀行口座の開設や融資審査などにおいても有利な評価を受けられることがあるので、商号登記を検討することも非常におすすめです。
成功している縁起の良い屋号の特徴
気に入った屋号が思い浮かばずに、悩んでいる方も多いと思います。
屋号を決めかねているときは、縁起を担いだり、成功している屋号を参考にしたりするのがおすすめです。
屋号にまつわる良い画数やジンクスを紹介しますね。
画数の良い屋号
子どもの名づけを考えるときに画数を気にするのと同じように、屋号をつけるときも、画数の良い名称を選ぶと縁起を担げます。
屋号で画数を考えるときは「○○会社」であれば、○○の部分を数えます。
流派によって善し悪しはありますが、1・3・5・7・8・9・11・13・15・16・17・24・31・32・35の画数は縁起がいいとされており、成功や繁栄をもたらす意味があります。
成功している会社には、たとえば5画の「ソニー」7画の「イオン」8画には「ローソン」があります。
ジンクスの良い屋号
「屋号に『ん』がつくと成功する」「成功したいなら濁音のつく屋号がよい」など、業界独自のジンクスを活用することもおすすめです。
コーヒー業界であれば、商品名や社名に濁点がつくと成功するとされており「コメダ珈琲店」「スターバックス」「ドトール」「タリーズ」などがあります。
響きの良い屋号
ジンクスのほかにも、音の響きによって屋号を決める方法も有効です。
屋号に濁点「゛」や半濁点「゜」をつけるとインパクトがあり、耳に残りやすくなります。
濁音は力強さ、半濁音は面白さや楽しさを感じさせる効果があるためです。
同じく「ッ」を入れると、切れの良さやスピード感のある印象をあたえます。
それ以外にも、言葉にはつぎのような特徴があります。
言葉の響きが事業やサービスのイメージと結びつくように、似合う音を探してみると、しっくるくる屋号を見つけられますよ。
では実際に、Webライターを例に挙げて、ネーミング例を見てみましょう。
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フリーランスWebライターの屋号ネーミング例
Webライターの場合は、記事や原稿を「書く」「執筆する」という業務内容が伝わるネーミングにすると伝わりやすくなります。
また執筆のほかに、リサーチや取材、記事構成の作成も可能なら、その点もアピールすると認識しやすい屋号になります。
執筆業では、個人名を前面に押し出すことも効果があり「個人名+ワード」にするWebライターも多いですよ。
おさらい:フリーランス屋号の決め方・ポイント・注意点を解説
フリーランスとして「仕事を充実させたい」「事務所を大きくしたい」と考えるなら、屋号を持つほうが便利であり、大きなメリットを得られます。
屋号のつけ方に決まりはありませんが、発音しやすく、印象に残る名前にすると、相手にすぐに思い出してもらえます。
屋号は看板や名刺、書類やハンコ、銀行口座の名義など、ビジネスシーンのあらゆる場面で役立ちます。
イメージを伝えるのに重要な名前になるので、ぜひあなたの目指す活動にふさわしい屋号をつけてくださいね。
また、本格的にフリーランスとして活動をするなら、独立する方法や準備について知ることもおすすめです。
下の記事では、独立する前にすべきことや必要なスキルを具体的に解説していますので、あわせてご覧くださいね。
おしまい
屋号は、法人ではない個人事業主が用いる重要な名前です。
登録は個人の判断に委ねられますが、ネットで開業しようと考えているなら、屋号を持ったほうが活動しやすくなります。
社会的な信用を得られたり、銀行口座を開設できたりなど、さまざまなメリットを得られるので重宝します。
屋号は、開業届または確定申告書に記入するだけで簡単に登録できるので、ぜひ活用してみてくださいね。
最後までお読みいただきまして、ありがとうございます。
それでは、ごきげんよう。
桜御前