きょうは「薬機法」について綴ってまいります。
薬機法とは、国民の生命や健康を守るために、医薬品などについて定めた法律のことです。
薬機法には、広告についてのルールもあり、すべての人が規制の対象になる法律です。
Webライターにもあてはまるので、美容や健康に関する記事を書くときは意識する必要があります。
- 「薬機法ってどんな内容なんだろう?」
- 「Webライターは薬機法について知っておいたほうがいいの?」
- 「薬機法で押さえておくべきポイントを知りたい!」
美容や健康、医療の執筆分野に興味がある方は、薬機法について気になる方も多いと思います。
今回の日記では、薬機法について禁止行為や罰則、違反しないためのポイントをわかりやすく解説します。
最近では、インターネットで情報を得ることが当たり前になっており、薬機法に対するチェックが厳しくなっています。
せっかく時間をかけて執筆しても、薬機法に触れる記事を書いてしまったら受け取ってもらえないですよね。
薬機法を理解すると、適切な表現がわかり、読者や発注先の信頼を損ねない記事を提供できるようになります。
美容・健康・医療記事を書くときに欠かせない知識なので、これらの執筆分野に関わる方は、ぜひご参考くださいね
薬機法・景品表示法の資格について知りたい場合は「薬機法管理者はどんな資格?取得するメリットや難易度を解説!」をご覧くださいね。
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薬機法(旧薬事法)とは
薬機法は、医薬品や医療機器等の製造・表示・販売・流通・広告について定めた法律です。
国民の生命や健康を守るために、保健衛生の向上を図ることを目的にルールを設けています。
正式名称を「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」といい、厚生労働省が管轄しています。
以前は「薬事法」という名前でしたが、2014年の改正に伴い、名称も変わりました。
薬機法は、医薬品を製造しないからといって、無縁になるわけではありません。
法律の適用範囲が「すべての人」なため、Webライターやアフィリエイター、インフルエンサーも薬機法に違反しないように注意する必要があります。
薬機法の目的
薬機法の目的は、保健衛生の向上を図ることです。
保健衛生とは、人の健康を保つことです。
薬機法では、医薬品や医療機器等の品質と有効性および安全性を確保するほか、危害発生の予防、危害拡大の予防をするために取り締まりを行っています。
これらは、薬機法の第一条に明記されていますので、頭に入れておくのがおすすめです。
(目的)第一条
この法律は、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器及び再生医療等製品(以下「医薬品等」という。)の品質、有効性及び安全性の確保並びにこれらの使用による保健衛生上の危害の発生及び拡大の防止のために必要な規制を行うとともに、指定薬物の規制に関する措置を講ずるほか、医療上特にその必要性が高い医薬品、医療機器及び再生医療等製品の研究開発の促進のために必要な措置を講ずることにより、保健衛生の向上を図ることを目的とする。
薬機法の対象になる製品
薬機法では、つぎの5つが規制の対象になります。
上の5つが何を指すのか、それぞれ具体例を挙げますね。
これの定義については、薬機法の第二条に記載されています。
医薬品
医薬品には、つぎのものがあてはまります。
医薬品は、つぎのように定められています。
(第2条1項)
一 日本薬局方に収められている物
二 人又は動物の疾病の診断、治療又は予防に使用されることが目的とされている物であつて、機械器具等(機械器具、歯科材料、医療用品、衛生用品並びにプログラム(電子計算機に対する指令であつて、一の結果を得ることができるように組み合わされたものをいう。以下同じ。)及びこれを記録した記録媒体をいう。以下同じ。)でないもの(医薬部外品及び再生医療等製品を除く。)
三 人又は動物の身体の構造又は機能に影響を及ぼすことが目的とされている物であつて、機械器具等でないもの(医薬部外品、化粧品及び再生医療等製品を除く。)
「日本薬局方」とは、国内の薬品を統一し、正しい医療を行なわせるための法令のこと。
日本国内で使われている薬品の品質・純度・強度などの基準を定めています。
医薬部外品
医薬部外品には、つぎのものがあてはまります。
「薬用化粧品」も医薬部外品に含まれます。
医薬部外品は、つぎのように定められています。
(第2条2項)
2 この法律で「医薬部外品」とは、次に掲げる物であつて人体に対する作用が緩和なものをいう。
一 次のイからハまでに掲げる目的のために使用される物(これらの使用目的のほかに、併せて前項第二号又は第三号に規定する目的のために使用される物を除く。)であつて機械器具等でないもの
イ 吐きけその他の不快感又は口臭若しくは体臭の防止
ロ あせも、ただれ等の防止
ハ 脱毛の防止、育毛又は除毛
二 人又は動物の保健のためにするねずみ、はえ、蚊、のみその他これらに類する生物の防除の目的のために使用される物(この使用目的のほかに、併せて前項第二号又は第三号に規定する目的のために使用される物を除く。)であつて機械器具等でないもの
三 前項第二号又は第三号に規定する目的のために使用される物(前二号に掲げる物を除く。)のうち、厚生労働大臣が指定するもの
化粧品
化粧品には、つぎのものがあてはまります。
化粧品は、つぎのように定められています。
(第2条3項)
3 この法律で「化粧品」とは、人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え、又は皮膚若しくは毛髪を健やかに保つために、身体に塗擦、散布その他これらに類似する方法で使用されることが目的とされている物で、人体に対する作用が緩和なものをいう。ただし、これらの使用目的のほかに、第一項第二号又は第三号に規定する用途に使用されることも併せて目的とされている物及び医薬部外品を除く。
医療機器
医療機器には、つぎのものがあてはまります。
医療機器は、つぎのように定められています。
(第2条4項)
4 この法律で「医療機器」とは、人若しくは動物の疾病の診断、治療若しくは予防に使用されること、又は人若しくは動物の身体の構造若しくは機能に影響を及ぼすことが目的とされている機械器具等(再生医療等製品を除く。)であつて、政令で定めるものをいう。
再生医療等製品
医療機器には、つぎのものがあてはまります。
テレビで目したことがあると思いますが「iPS細胞」から作られた心筋細胞のシートに使われる細胞加工製品や遺伝子治療の製品がこれに当たります。
医療機器は、つぎのように定められています。
(第2条9項)
9 この法律で「再生医療等製品」とは、次に掲げる物(医薬部外品及び化粧品を除く。)であつて、政令で定めるものをいう。
一 次に掲げる医療又は獣医療に使用されることが目的とされている物のうち、人又は動物の細胞に培養その他の加工を施したもの
イ 人又は動物の身体の構造又は機能の再建、修復又は形成
ロ 人又は動物の疾病の治療又は予防
二 人又は動物の疾病の治療に使用されることが目的とされている物のうち、人又は動物の細胞に導入され、これらの体内で発現する遺伝子を含有させたもの
健康食品、サプリメント、健康器具、美容器具などは、上の5つにあてはまらないため、法律によるを制限を受けません。
しかし、医療品のような効果があると表現することは、薬機法に触れる違反行為として禁止されています。
そのため、健康系や美容系の記事を書くときも、正確な表現をするように注意を払わなければなりません。
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薬機法に違反した場合の罰則
薬機法に違反した場合、どうなるのでしょう?
違反した場合は、行政による指導が行われ、行いを改善するように求められます。
悪質な場合には逮捕となり、刑事罰として懲役刑もしくは罰金刑に科されます。
また2021年8月に改正薬機法が施行され、課徴金制度が導入されました。
この制度により、違反を行っていた期間の対象商品の売上額に、4.5%を乗じた金額を支払う課徴金納付命令も加わりました。
行政処分の対象となる
薬機法に違反をした場合には、行政処分の対象になります。
行政処分とは、行政から違反行為を改めるように命じられたり、許可を受けている場合には、その許可の取り消しや業務停止を命じられたりすることです。
刑事罰の対象となる
薬機法に違反する行為に対しては、刑事罰の対象になる場合もあります。
たとえば、虚偽広告や誇大広告をした場合は、2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金、または両方を科させられます(薬機法85条4号)。
課徴金の対象となる
医薬品などに関する虚偽広告や誇大広告については、課徴金の対象になったため、厚生労働大臣から課徴金納付命令を受ける可能性があります。
課徴金の割合は、虚偽広告や誇大広告によって得た利益の4.5%です。
ただし、対象となる売上金額が5,000万円未満である場合には、課徴金が免除されます。
薬機法で禁止している広告
薬機法と聞くと「医薬品の製造販売をする人だけが関係あるのかな」と感じるかもしれません。
しかし、ライティングに関わるすべての人が、概要だけでも知っておくのがよい法律です。
とくに広告については、規制の対象が「何人も」とされており、すべての人に関係するので、よく理解しておくのが望ましいです。
アフェリエイト広告や記事広告も対象になり、広告主、広告代理店、メディア企業、Webライター、アフィリエイターなどの個人もあてはまりますので、法に触れないように気をつけることが大切です。
規制している広告で注意すべきポイントは3つです。
ウソ・大げさな広告の禁止
薬機法では、医薬品や医療機器等の広告において、ウソの情報や大げさな表現の広告を禁止しています。
製品の効能・効果や安全性について、事実と異なる内容を伝える広告は、誤解をあたえる可能性があるためです。
消費者の安全を害する恐れがあるので、厳しく制限しています。
承認していない医薬品等の広告の禁止
薬機法では、厚生労働大臣の承認を受けていない医薬品や医療機器等の広告を禁止しています。
これは、まだ十分な臨床試験や安全性・有効性のデータを得られていない製品が、広告されて出回ることを防ぐためです。
医師関係者が保証したと匂わす広告の禁止
医薬品や医療機器等の広告において、医師や専門家が製品の効果や効能を保証しているかのような誤解をあたえる広告を禁止しています。
たとえば「○○医師がおすすめするNo1商品」「医師が認めた革新的な治療法」のような表現です。
医師や専門家の信頼を悪用し、製品の安全性や効果に対する誤った印象をあたえるため、このような広告を制限しています。
これらは、医薬品や医療機器等に関する情報が正しく伝わるよう、法によって厳しく管理されています。
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Webライターが薬機法に違反しない5つのポイント
Webライターが薬機法に違反しないために、つぎの5つを押えることが大切です。
断定する表現を使わない
製品の効果や効能について「絶対効く」「必ず治る」のような断定する表現を使わないように注意します。
とくに、健康食品や化粧品など、一般消費者向けの製品についての記事を書くときは、言葉を慎重に選び、誤解を招く表現を避けることが大切です。
また「効く」「治る」といった言葉は医療用語に当たるので、医療従事者ではない事業者が使うと違法になります。
たとえば、エステやマッサージ店のホームページで「肩に効く」「腰痛が治る」という表現は使用できません。
医療行為と広告活動をはっきりと区別し、医療用語を使わないように気をつけましょう。
大げさな表現をしない
特別に良い製品であるような誤解をあたえる表現はできません。
また、承認されていない効果・効能に関わる表現も禁止されています。
たとえば「効き目しっかり」「しっかり治す」「優れた効き目」「よく効きます」の表現は認められていないので注意が必要です。
治療薬で「治す」という表現は使用できますが「しっかり治す」は効果・効能を保証する表現に当たり、誤解を招く可能性があるために規制の対象になります。
そのほかにも「アイチエイジング」「抗酸化作用」「痩せる」「脂肪を燃焼する」の表現を使うときは、効果・効能が承認されているかを確認し、しっかりと製品の内容を理解したうえで使用することが大切です。
根拠のない内容を書かない
正確な情報のみを伝えて、根拠のない内容を書かないようにすることも大切です。
具体的な証拠がないのに「100万個売れています!」「99%の利用者が満足したと回答!」「業界No.1の売れ筋商品」などと表現することは禁止されています。
必ず、根拠となるデータや調査結果などをしめすことが重要です。
読者の信頼を損ないためにも、客観的な事実にもとづいた情報を届けましょう。
ガイドラインを確認する
違反しないためには、厚生労働省が定めているガイドラインを正しく理解することがもっとも大事です。
それには「医薬品等適正広告基準についての解説と注意事項(PDF)」「化粧品の効能の範囲の改正(PDF)」を確認するのがおすすめです。
対象となる広告の種類をはじめ、医薬品や化粧品・医薬部外品の名称、効能・効果の表現の範囲など、さまざまな項目について具体的に書かれています。
ガイドラインをもとに該当する項目がないかをチェックできるので、適切な表現を知ることができ、記事作成の助けになりますよ。
納品する前に相談する
薬機法に引っかかる表現について自信がないときは、発注先に相談することも賢い選択です。
とくに、医薬品や化粧品のような健康に関わる製品は、守るべき規制が多く存在します。
発注先に相談することで、製品の効果や効能について適した表現を使うことができ、法的な問題を回避できます。
信頼を損なわないためにも、発注先とのコミュニケーションを大切にし、適切な指示を仰ぐようにしましょう。
薬機法で「この表現は大丈夫?」と迷ったときは
記事を書いていると、どう表現したらいいんだろう?と迷うことがあると思います。
そんなときは、つぎのサイトを参考にするのがおすすめです。
Yahoo!広告ガイドライン
Yahoo!広告ガイドラインは、広告主や広告代理店に向けて、守るべきルールやガイドラインをまとめたサイトです。
広告の品質や信頼を保ち、ユーザーに適切な広告を提供することを目指しており、Yahoo! JAPANが提供しています。
Yahoo!広告ガイドラインは、薬機法関連の情報をわかりやすくまとめているので、とても理解しやすいです。
動画解説もあり、Web広告で知っておくべき情報を把握できるの、初心者の方は一度チェックしてみるのがおすすめです。
医薬品等広告講習会の資料
毎年、東京都福祉保健局が「医薬品等広告講習会」を開催し、医薬品等広告講習会の資料を配布しています。
資料には、薬機法の広告規制についての基本から最新の情報までが記載されています。
こちらの資料もわかりやすく書かれており、ライティングや広告に関わる方におすすめです。
また「医薬品等広告講習会」はだれでも参加でき、質問もできるので、より深く理解したい方は足を運んでみるのもよいでしょう。
問合せ先
東京都福祉保健局健康安全部薬務課監視指導担当 小川、腰塚、設樂
電話:03-5320-4512
薬事広告表現チェックツール
薬事広告表現チェックツールは、化粧品・薬用化粧品・健康食品に関する表現が、薬機法に触れていないかを確認するツールです。
健康食品として使用したい原材料が、医薬品成分に該当するかどうかもチェックできます。
無料で使えるので、迷ったときはツールで確認するのもおすすめの手段です。
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おさらい:ライターが知っておきたい薬機法の注意点
ここ数年で、薬機法はますます注目を浴びています。
その理由のひとつが、薬機法が改正され、2021年8月1日からスタートした「課徴金制度」の導入です。
企業や個人は、記事を作成するときや広告を載せるときは、さらに慎重になる必要があります。
読者や消費者の安全を確保するためにも、薬機法の「広告」にかかわる内容をしっかりと理解し、適切な表現で執筆するように心がけましょう。
参考資料
・医薬品等適正広告基準の解説及び留意事項等
・化粧品の効能の範囲の改正について
・医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律
・薬事法ドットコム
また、Webライターとして本格的に活動するなら、景品表示法や下請法について知ることもおすすめです。
下の記事では、守るべきルールや注意すべきポイントを解説していますので、あわせてご覧くださいね。
おしまいに
薬機法にむずしいイメージを抱く方も多いと思います。
しかし、項目を一つずつ理解し、意味や目的を知れば、過剰に構えることはありません。
Webライターが薬機法を知る目的は、商品の良さを正しく伝えることであり、読者が安心して商品サービスを選べる環境を提供することです。
ぜひこの機会に、薬機法の知識を身につけて、たくさんの読者に喜ばれる記事を作成していただけたらと思います。
最後までお読みいただきまして、ありがとうございます。
それでは、ごきげんよう。
桜御前