きょうは、Webライターの著作権について綴ってまいります。
あなたは、著作権の正しい知識を持っていますか?
- 「著作権の言葉は聞いたことあるけれど、くわしい内容を知らない…」
- 「Webライティングに関わることは知っているけど、きちんと理解できているか心配…」
- 「法律に関する文章で言葉がむずかしい…」
Webライティングに著作権の知識は必要なのはわかるけど、むずかしく感じる方が多いのではないでしょうか?
そこで今回の日記では、著作権の意味や気をつけたいポイント、注意すべき点をわかりやすく解説します。
著作権を正しく理解すると、意図せぬトラブルに巻き込んだり、巻き込まれたりするリスクを防げます。
Webライティングに欠かせない知識ですので、ぜひこの機会に一緒に学びましょう
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著作権とは?人がつくった著作物には著作権がある
著作権って何?
著作権とは、著作物の作者が持つ権利のことです。
創作した作品を無断で利用されないための権利をいい、英語ではコピーライト(copyright)といいます。
そして、その権利を守る法律を著作権法といいます。
あなたが創作したものを、ほかの人が勝手に利用できる状態であると、自分の権利と利益を侵害されて創作意欲を失いますよね
そのために法律で著作者と著作物を保護します
具体的には、小説、音楽、美術、映画、写真、コンピュータープログラムなどが当てはまり、これらを無断で利用されないために法律で保護しています。
9種類 | 著作物 |
---|---|
言語 | 小説・脚本・論文・講演 |
音楽 | 楽曲・歌詞 |
踊り | 日本舞踊・バレエ・ダンス・振り付け・パントマイム |
美術 | 絵画・版画・マンガ・彫刻・書道・舞台装置 |
映画 | 劇場用映画・テレビ番組・ビデオソフト・ゲームソフト・動画 |
写真 | 人や風景などを撮影した写真 |
建築 | 城郭・宮殿・博物館などの建築芸術 |
地図・図形 | 図形・図表・図面・設計図・模型・地球儀 |
プログラム | コンピュータープログラム |
著作権は、著作物が創作・公開されたときに発生します。
わかりやすく、Webライターに置きかえてみましょう。
「人がつくったものには著作権がある」と考えると理解しやすいです。
では、著作権の意味を理解できたら、もう少しくわしい内容を見てみましょう。
著作権ってどんな権利?
著作権法は、大きく2つの権利に分けて著作権を定めています。
著作権(財産権)は人に譲り渡せますが、著作者人格権は、作品を創った人の人格を保護する目的があるので譲ることができません。
たとえ著作者が著作権(財産権)を譲ったとしても、著作者人格権は、著作者が持ち続けます。
著作者人格権
「著作者人格権」には3つの権利、「著作権(財産権)」には11の権利があります。
はじめに、著作者人格権の3つの権利を見てみましょう。
◆ 公表権
著作者が著作物を公表するかどうか、公表するならどのような方法で公表するかを決める権利
◆ 氏名表示権
自分の著作物に氏名を表示するかどうか、表示するなら本名にするかペンネームにするかを決める権利
◆ 同一性保持権
自分の著作物のタイトルや中身をほかの人に勝手に変更されない権利
上の内容に加えて、著作者の名誉や社会的な評価を傷つける方法で著作物を利用すると、著作者人格権を侵害したとみなされることもあります。
また、著作者人格権の保護期間は、著作者の生存中と定められていますが、亡くなったあとも権利を侵害してはならないと決められています。
著作物を利用するときは、著作者の気持ちに反する行い、作品の扱い方をしないように気をつけなければなりません。
著作権(財産権)
著作権(財産権)には、つぎの11の権利があります。
11の権利 | 内容 |
---|---|
複製権 | 著作物を印刷、写真撮影、コピー機による複写、録音、録画などの方法で物に複製する権利 |
上演権・演奏権 | 著作物を公に上演・演奏する権利 (収録した録音を再生することを含む) |
上映権 | 映画・写真・絵画などの著作物を公に上映する権利 |
公衆送信権・公の伝達権 | テレビ・ラジオ・有線放送・インターネットなどを用いて著作物を公に放送する権利 公衆送信された著作物を公に伝達する権利 |
口述権 | 小説や詩などの著作物を朗読などにより口頭で公に伝える権利 (収録した口述の再生することも含む) |
展示権 | 美術の著作物や未発行の写真の著作物を公に展示する権利 |
頒布権 | 映画の著作物の複製物を販売したり・貸したりする権利 |
譲渡権 | 映画以外の著作物・複製物を公に販売したり・提供したりする権利 |
貸与権 | 映画以外の著作物の複製物を公に貸し出す権利 |
翻訳権・翻案権など | 著作物を翻訳・編曲・変形・翻案などにより二次的著作物を創作する権利 |
二次的著作物の利用権 | 自分の著作物(原作)から創られた二次的著作物を利用することについて、原作者の持つ権利 |
上に挙げたなかでも、複製権、公衆送信権、翻訳権・翻案権、二次的著作物の利用権はWebライターにも関わる権利です。
これらの知識をしっかりと理解しましょう。
続いて、法律の内容を紹介します。
著作権を侵害したらどうなるの?
Webライターの仕事をするときに理解しておきたいのが著作権法です。
記事やブログなどを書くときに、ほかの人の文章を無断で使用すると、その権利を侵すことになります。
たとえば、テーマに関する文章を参考にするときや、文章だけでなく写真や画像、イラストを使用するときにも注意が必要です。
権利を侵した場合、読者や発注先の信頼を失うだけでなく、記事の差し止めや損害賠償請求を求められる可能性があります。
万が一、著作権を侵害した場合、10年以下の懲役もしくは1,000円以下の罰金を課せられます。
さらに、法人が著作権を侵害した場合は3億円以下の罰金、著作権を侵害した個人に対しても刑罰を科せられます。
他人の著作権を侵害しないためにも、自分で自分の身を守るためにも、著作権をしっかりと理解して信頼の高い執筆活動を行いましょう。
Webライターが発注先から損害賠償を請求されるケースを知りたい場合は、下の記事をご参考くださいね。
くわしく知りたい
Webライターが損害賠償を請求されるケースとは?対策とおすすめの保険を紹介
では、どのようなことに気をつければよいのでしょう?
つぎは、執筆するときに注意するポイントを見てみましょう。
Webライターが注意すべき著作権のポイント
執筆をするときは、著作権を侵害しないよう、つぎのタイミングを意識しましょう。
引用文を使うとき
引用ルールを守ろう!
書籍やほかの人の記事を参考にして文章を書くときは、ルールに則って引用します。
引用とは、自分の文章に他の人の文章や表、図などを用いることです。
引用は必然性があるときにのみに使用し、つぎのルールを守ります(文化庁:引用における注意事項)。
引用は、自分の文章を補う目的で行い、補足的な内容にする必要があります。
量のうえでも中身のうえでも、自分の文章が主、引用が従の関係になるようにします。
引用部分が大半を占めないよう、独自性の高いオリジナルな内容にしましょう。
引用の仕方はつぎのとおりです。
どこからどこまでが引用個所なのか、はっきりとわかるようにしめしましょう。
カギ括弧「」や二重カギ括弧『』、“○○”を用いると区別しやすくなりますよ。
その際は、下にしめすように必ず出どころを明記しましょう。
引用個所は改変しないよう、必ず原文のままを引用します。
文章の内容だけでなく、句読点の位置や漢字の表記、改行の位置など、細かい部分の改変も認められないので注意してくださいね。
なお、独自性の高い文章の書き方を知りたい場合は、下の記事をご参考ください。
くわしく知りたい
オリジナルコンテンツの作り方!独自性を高める4つのポイント
写真を使うとき
肖像権を守ろう!
ほかの人の写真や自分で撮影した写真を使うときは、著作権や肖像権を侵さないように注意します。
肖像権とは、無断で写真や映像を撮影されたり、撮影された写真や映像を無断で公表されたりしないための権利です。
撮影された人の権利を侵さないためにも、写真を使うときは肖像権を守り、注意して使う必要があります。
たとえば、インターネット上に公開されている写真や、SNS上に投稿されている写真などを載せる場合です。
これらを載せるときは、写真に写った本人に事前に許可を得る必要があり、許可のない写真は使用できません。
では、もし通行人が写ってしまった場合は、どうすればよいのでしょう?
その場合、だれだか特定できないときは、あまり気にする必要はありません。
人の顔がはっきりとわかる写真の場合に「本人の許可を得る」または「写真を加工する」必要があります。
それができない場合は、写真の使用を控えましょう。
画像やイラストを使うとき
著作権フリー・商用利用OKの画像を使おう!
記事に画像やイラストを使うときは、著作権の問題がないか、用途にあった利用ができるかどうかを確認します。
Webライターの仕事をするときに、案件によっては、画像の選定を依頼されることがあります。
その場合、インターネット上の写真や画像を無断で使用することは禁止されているので、著作権フリーの画像を選ぶことになります。
著作権フリーの画像を選んだとしても、商用利用NGといった利用用途が限られているWebサイトがあります。
そのため、画像やイラストを使うときは、掲載されているWebサイトの注意事項や利用規約をよく確認して使用することが重要です。
あらかじめ、あなたの利用用途に適したWebサイトをいくつか知っていると便利ですよ。
Webライターに人気の商用利用OK、著作権フリーのWebサイトをいくつか紹介しますね。
上のサイトは無料で使えて、会員登録も必要ないので使いやすいです。
ほかにも著作権フリーの画像サイトはたくさんあります。下の記事で紹介していますのでご活用くださいね。
くわしく知りたい
Webライティングにおすすめのツール20選【初心者Webライター必見】
ポートフォリオを作るとき
事前に納品先に確認しよう!
執筆した文章をポートフォリオに載せて公開するときは、事前に納品先に許可を得る必要があります。
このポートフォリオを公開するときに著作権が関係します。
その理由は、記事の依頼を受けたときに、発注先との契約で著作権を譲渡した場合、ポートフォリオを公開するときに発注先の許可が必要になるからです。
たとえば、無記名記事(匿名記事)をポートフォリオに載せて実績として使用する場合は、事前に納品先に確認しなければなりません。
Webライターが執筆した記事は著作物であり、著作権はライター側にあります
ですが、発注先と契約を交わして著作権を譲り渡した場合は、記事を納品し、報酬を受け取った時点で発注側に著作権が移ります
下にしめすように、対応は納品先によって異なります。
納品先からの許可を得られない場合は、WebサイトのURLや記事タイトルを明記せず、記事の内容のみを載せます。
そのためにも、ポートフォリオを公開するときは、著作権の契約をどのように行っているか、事前に契約書を確認しましょう。
参考までに、クラウドワークスの利用規約を載せますね。
2. 第三者の保有する知的財産権を成果物に利用する場合、ワーカーは当該第三者の事前の許可を得るものとし、クライアントに対して第三者の権利侵害をしていないことを保証するものとします。
引用元:CroudWorks利用規約「17条2」
このことは、提案文や応募メッセージにも言えることです。
執筆した記事を実績として応募先に公開するときは、事前に納品先に確認が必要です。
許可を得たうえで、記事を公開しましょう。
ポートフォリオへの記事の載せ方は、下の記事で解説していますのでご参考くださいね。
くわしく知りたい
初心者向け!Webライターのポートフォリオの作り方【例文つき】
ここまでの内容で、著作権や引用の仕方を見てきました。
つぎは、引用と似た言葉について、意味や違いを見てみましょう。
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引用との違いと表記の仕方
引用と似た言葉に参照や参考、転載があります。
それぞれ意味が異なるので、違いを理解して表記しましょう。
参照
参照元を明記しよう!
引用は、一言一句そのままの文章を変えずに記載することです。
それに対して参照は、文章を作成するときに、事実確認をするためにほかの文章と照らし合わせて内容を利用することです。
照らし合わせた箇所は、間違った事実を書かないように注意して使います。
その際は、引用と同じように参照元を明記しましょう。
参考
- 納品前にコピペチェックツールで確認しよう!
- 「参考文献:」「参考:」と明記すると好印象をあたえる
参考とは、執筆のために使った資料や情報などから発想を得て、自分なりの言葉で文章を作ることです。
ただし、文章の大半が参考元の内容である場合、コピー&ペーストと疑われる可能性があります。
納品する前に、コピペチェックツールを使って確認しましょう。
無料で使える「CopyContentDetector」を利用すると確認できます。
4,000文字まで何度でもチェックできるので便利ですよ。
また、参考にした文献や書籍、Webサイトがある場合に、タイトル、著作者、URLを明記することは義務ではありません。
ですが、マナーが良く好印象をあたえるので「参考文献:」「参考:」のように明記するのがおすすめです。
転載
あらかじめ許可を得よう!
転載とは、すでにWeb上に公開された文章を別の媒体にそのまま記載することです。
引用との違いは、記載する文章の割合にあります。
引用は、一部の文章をそのまま記載することをいいます。
一方、転載は「自身の著作物の従たる範囲を超えて」文章をそのまま記載することをいいます。
つまり、大部分の文章を使用することを意味します。
転載の場合は、ほかの人の文章をそのまま紹介するために使用するので、文章の割合が大部分になっても構いません
事前に許可を得て載せます
転載をする場合は許可が必要ですが、国や地方公共団体の資料は、許可なしに転載して良いというルールがあります。
国などが行政のPRのために発行した資料などは、説明の材料として新聞、雑誌などに転載できる。転載を禁ずる旨の表示がされている場合はこの規定は適用されない。
文化庁:引用(第32条)
Webライターの著作権について勉強する方法
Webライターとして著作権を守るためには、法律への理解が必要不可欠です。
ここでは、具体的にどのような方法で勉強すればよいのかを見てみましょう。
本から学ぶ
著作権法の知識を基礎から身につける確実な勉強法は、本から学ぶことです。
図解や事例を使ってわかりやすく解説された本が多く出版されているので、自分に適したものを選べるでしょう。
おすすめの本は「著作権トラブル解決のバイブル! クリエイターのための権利の本」です。
「著作権トラブル解決のバイブル!クリエイターのための権利の本」は、文章・コピー・写真・イラストなど、約60もの豊富な事例を載せて、著作権の法律や判例、考え方や対策をわかりやすく解説しています。
「侵す側」「侵される側」「それを見つけた側」の3つの視点から書かれているので、著作権の実践的な内容を学べます。
セミナーに参加する
著作権セミナーに参加することで、知識を深めることができます。
主催しているセミナーは文化庁や公益社団法人、一般企業などさまざまにあり、オンラインセミナーもあります。
無料セミナーもありますが、有料の場合もあります。
セミナーに参加するメリットは、法律にくわしい講師が教えてくれることや質問できることです。
学べるレベルも、初心者向けから上級者向けまであるので、自分の知識に合わせて理解できます。
資格を取る
著作権の知識をしっかりと身につけるには、資格を取得する方法もおすすめです。
資格を取得していれば、ルールを守った記事を執筆できるだけでなく、発注先からの高い評価と信頼を得られます。
著作権の資格を取得できる検定資格は、ビジネス著作権検定です。
ビジネス著作権検定は、サーティファイ著作権検定委員会が運営、知的財産研究教育財団が監修を行う民間の検定試験です。
検定試験は、初級、上級があるので、まずは、初級からはじめて上級へと段階的に進むと理解しやすくなります。
難易度 | 初級:低い 上級:中 |
合格率 | 72% |
費用 | 初級:5,100円 上級:8,000円 |
ビジネス著作権検定の勉強法は「ビジネス著作権検定 公式テキスト 初級 上級」をくり返し学習することです。
試験問題は、公式テキストに準拠した内容が出題されるので、きちんとこなせば十分に合格できます。
テキストのみでは自信がない方は、添削付きのDVD講座eラーニング講座でも学習できます。
Webサイトから学ぶ
著作権の知識や情報をすぐに手に入れたいときは、Webサイトの情報に頼ることもできます。
ただし、著作権を含む法律は、改訂されることがあるので最新の情報かどうかを確認しましょう。
たとえば、弁護士ドットコムを利用する場合は「事例を探す」または「法律Q&Aを探す」の検索窓に著作権に関連するキーワード「著作権」「著作者人格権」「肖像権」「パブリシティー権」を入力すると知りたい情報を見つけられますよ。
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おさらい:Webライターが守るべき著作権
著作権とは、著作物の作者が持つ権利のことをいい、無断で利用されないための権利のことです。
記事を書くWebライターにとって著作権は身近な問題です。
権利を侵さないためにルールを守って引用しましょう。
引用した箇所は、カギ括弧「」や二重カギ括弧『』、“○○”を用いて区別します。
また、つぎのことを行うときは、事前に著作権を確認し、注意事項や利用規約を確認したうえで使用しましょう。
著作権は、気づかないうちに侵してしまう可能性があります。
ですが、法律に関する知識なので理解するのがむずかしいですよね。
本やセミナーなどを利用して、上手に知識を深めましょう。
執筆を行う際は、ほかの人の著作権や肖像権を侵害しないことが大切です。
意図せぬトラブルに巻き込んだり巻き込まれたりしないためにも、正しい知識を身につけましょう。
参考サイト:文化庁「著作物が自由に使える場合」
また、著作権を理解したら、Webライターによくあるトラブルについて知ることもおすすめです。
下の記事では、著作物の不正利用やトラブル事例を解説していますので、あわせてご覧くださいね。
おしまいに
わたし自身も含めて、ぼんやりとした知識で執筆活動をすることがあります。
気持ちよく仕事を続けるためにも、著作権を正しく理解して活動したいものですね。
ぜひこの機会に、正しい知識を身につけましょう。
最後までお読みいただきまして、ありがとうございます。
それでは、ごきげんよう。
桜御前