きょうは、体言止めの使い方について綴ってまいります。
- 「表現方法がいつも単調でインパクトに欠ける…」
- 「ありきたりな文章で平凡に感じる…」
文章を書くときにこのように感じていませんか?
体言止めを身につけるとリズム感のある文章に変わり、読者を一気に惹きつけることができます。
しかし、堅い文章やビジネスの文章では、体言止めは適さないという考えもあり、適切なタイミングを理解して使いこなす必要があります。
そこで今回の日記では、体言止めの意味や正しい使い方、なぜビジネスの場に向かないのか、例文を交えてわかりやすく解説します。
効果的に体言止めを取り入れて、余韻を残す魅力的な文章で読者を惹きつけましょう。
読者の心をグッと掴む、読まれる文章に劇的に変わりますよ
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体言止めとは?
体言止めの意味
体言止めとは、名詞や代名詞で文章を終える表現方法のことです。
昔から短歌や俳句で使われていますが、今日でも日記やエッセイ、小説などに使われています。
たいげんどめ【体言止め】
和歌・俳諧などで、最後の句を体言で終わらせること。余韻・余情を生じさせる効果がある。「春過ぎて夏来にけらし白妙の衣干すてふ天(あま)の香具山(かぐやま)」
引用:小学館デジタル大辞泉
〈新古今・夏〉の類。名詞止め。
実際に、体言止めの例文を見てみましょう。
◆ 通常の文章 やはり春といえば待ち望むような咲き誇る桜を想像します
◆ 体言止めの文章 やはり春といえば想像するのは待ち望むように咲き誇る桜
語尾を「桜」と体言である名詞で止めていますよね。
上の文章のように、語尾を名詞で終わらせることを体言止めといいます。
体言の意味
では、少し体言の意味についても見てみましょう。
体言とは名詞や代名詞のことです。
名詞は「私」「日記」といった人や物をあらわす言葉です。
代名詞は「彼」「それ」といった人や物を支持する言葉です。
「~こと」「~ため」「~とき」「~ところ」といった言葉も形式名詞なので体言に含まれます。
このように、体言である名詞や代名詞を用いて文章を止めることを「体言止め」といいます。
体言止めと似た表現方法に倒置法がありますが、倒置法は、助詞を用いて文章を終えることが多いです。
体言止めと倒置法の違いは、後ろの見出し「体言止めと倒置法の違い」で解説しますので、こちらもご参考くださいね。
では、さっそく体言止めの使い方を見てみましょう。
体言止めの正しい使い方・例文
体言止めを使うと、テンポやリズムが加わり、印象の薄い単調な文章を明るい文章に変えることができます。
例文を見てみましょう。
きょうの午後は天気が良いので縁側でゆっくり過ごしました ↓ 天気が良いので縁側でゆっくり過ごした今日の午後 桜を見ながらの昼食は友達との会話がはずみました ↓ 友達との会話がはずんだ桜を見ながらの昼食
強調したい文章に体言止めを使うことで、感情が伝わり情景が想像できますよね。
体言止めは、文章に余韻を持たせたりリズムをあたえたりする効果があるため、読者に読みやすい印象をあたえます。
では、体言止めの効果をくわしく見てみましょう。
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体言止め3つの効果
体言止めは、文章の雰囲気を変える力があります。
読者を惹きつける体言止めの効果を3つ見てみましょう。
簡潔に伝わる文章になる
体言止めを使うと内容がシンプルになり、簡潔に伝わる読みやすい文章になります。
とくに、文字数制限のある商品紹介文に有効です。
商品の特徴や魅力を簡潔にアピールでき、伝わりやすくなります。
つぎの文章を体言止めを用いた文章にしてみましょう。
ちょっと贅沢な朝食におすすめの商品である果肉たっぷりのブルーベリージャムは、こんがり焼いたトーストと相性バッチリです
↓
ちょっと贅沢な朝食におすすめの商品
果肉たっぷりのブルーベリージャムは、こんがり焼いたトーストと相性バッチリです
ひとつの長い文章をふたつの短い文章に分けることができます。
長くなるほどに文章は読みにくくなりますが、途中で体言止めを入れることで簡潔で伝わりやすい文章になります。
リズム感のある文章になる
体言止めは、文章にリズム感をあたえる効果があります。
単調になりやすい「ですます調」や「である調」の文章に体言止めを使うことで、リズムやアクセントがつき、テンポのよいリズム感のある文章になります。
こちらも具体例を見てみましょう。
◆ 通常の文章 私がいま一番行きたいところは京都です 京都に行ってやりたいことは疎水になびく枝垂れ桜を見ることです そして、そのまま歩いておばんざいを食べに行きたいです 中でも湯葉ははずせません 京都で湯葉を堪能できたらもう幸せです
上の単調な文章を体言止めを使って書きかえます。
◆ 体言止め文章 私がいま一番行きたいところは京都 京都に行ってやりたいことは疎水になびく枝垂れ桜を見ること そして、そのまま歩いておばんざいを食べに行きたいです 中でもはずせないのは湯葉 京都で湯葉を堪能できたらもう幸せです
体言止めは、文の流れを途中で止めるので、機械的で淡白な文章にリズムを生み、読者を飽きさせることなく惹きつけます。
同じ語尾が連続すると稚拙な印象や冷たい印象をあたえます。
そのようなときは、体言止めを活用しましょう。
また、同じ語尾が続くときは、下の記事を参考にすると、バリエーションが増えて読みやすくなります。
文末表現に困ったときは、こちらもあわせてご覧くださいね。
くわしく知りたい
一覧表つき「です・ます調」「だ・である調」の使い方と変化のつけ方
続きを読みたくなる文章になる
体言止めを用いると、読者は興味を惹きつけられて続きを読みたくなります。
止められた言葉の響きが意識に入りこみ、名ごりを感じてつぎの文章に注意が向くためです。
その結果、強く印象づけられて最後まで読みすすめたくなります。
具体例を見てみましょう。
◆ 通常の文章 Webライティングに大事なのはリサーチです 前もって情報を調べることで魅力的な記事になります
こちらの文章に体言止めを用いて改善します。
◆ 体言止めの文章
Webライティングに大事なのはリサーチ
前もって情報を調べることで魅力的な記事になります
体言止めにより、その先の文章に「なぜ?」と興味が湧きますよね。
名詞で言いきり終わらせることで「なぜリサーチが大事なのか?」と考えさせる効果があり、つぎへ読みすすめたくなります。
このように、体言止めを使うことで、リズミカルで簡潔に伝わる文章に変わり、先を読みすすめたくなる文章になります。
文章が「単調だな」と感じるときは、体言止めを取り入れましょう。
タイトルや見出しに用いるとインパクトある一文になりますよ
では、体言止めの効果を理解できたら、使うときの注意点を見てみましょう。
【注意点】体言止めを多用しない
体言止めを使うときは、多用しないように注意することが大切です。
なぜなら、体言止めを使いすぎると、文章全体が単調になり、情緒やニュアンスを損なう内容になるからです。
◆ よくない例 昼食にカフェでサンドイッチ。 注文したのはハムとチーズ。 一口食べると広がる、豊かな味わいとふんわりとした食感。
上の例文は、すべての文末を体言止めで表現しています。
くどさを感じる冗長な文章になっていますよね。
読者の興味を引くには、文体のバリエーションを意識する必要があります。
強調したい箇所にしぼって体言止めを使用して、改善してみましょう。
◆ よい例
昼食にカフェでサンドイッチを食べました。
注文したのはハムとチーズ。
一口食べると、豊かな味わいとふんわりとした食感が広がりました。
適切な個所にのみ体言止めを使うと、リズムが生まれて読みやすい文章になりましたね。
体言止めは、適切な場面・適切な箇所にこそ効果を発揮します。
体言止めを使いすぎないよう、さまざまな文末表現を用いて、バラエティに富んだ魅力的な文章を目指しましょう。
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体言止めに向かない文章
体言止めは、すべての文章に効果があるわけではありません。
とくに、堅い文章やビジネス文書とあまり相性がよくありません。
つぎのような文章は、体言止めに向かないので使用するのを控えましょう。
真面目な堅い文章
- レポート・論説文・ビジネス文書・ビジネスメールでは体言止めを控えよう!
- 「ですます調」で伝えよう!
体言止めは丁寧な表現とはいえず、話し言葉のような砕けた印象をあたえてしまいます。
そのため、レポートや論説文、ビジネス文書やビジネスメールでは体言止めを控えることが望ましいです。
多用すると信頼性の低い、失礼な印象をあたえます。
「ですます調」を使うほうが丁寧な印象をあたえるので、真面目な堅い文章には「ですます調」を使いましょう。
正確な情報や事実を伝える文章
法律・健康・美容・ダイエットに関する記事では体言止めを控えよう!
体言止めは、正確さを求められる文章や事実を伝える文章には不向きです。
体言止めを使うことで、文の意味が曖昧になり、正しい意図が伝わらず誤解をあたえます。
読者は、根拠のある事実なのか筆者の憶測なのか、判断がつかないために混乱してしまいます。
体言止めは、余韻を持たせることで文章に奥行きをあたえます。
含みがあると受け取り方が変わってしまうため、使うときには注意しましょう。
このように、体言止めを使うことで、失礼な印象をあたえたり誤解をあたえたりする場合があります。
とくに、法律・健康・美容・ダイエットなどに関する記事や、真面目な内容の文章には向いていないので気をつけましょう。
体言止めがビジネス文章に適さない3つの理由
体言止めは、使い方によって失礼な印象をあたえる文章です。
とくにビジネスの場では、相手に敬意や丁寧さをしめす必要があるため、使うときには注意が必要です。
体言止めがビジネスの場に適さない理由は3つあります。
相手に敬意をしめす必要があるから
不誠実な印象をあたえない
ビジネスの場では、相手と信頼関係を築いて、円滑にやり取りを行うことを求められるため、丁寧な表現でコミュニケーションをする必要があります。
言葉遣いに気を配り、敬意を払いながら伝えることで、お互いに気持ちよく仕事を進められます。
一方で体言止めは、情緒的な雰囲気で言葉に余韻を残す効果があるため、ビジネスの場には適しません。
たとえば、つぎのようなビジネスメールは、相手に失礼な印象をあたえます。
◆ よくない例 いつもお世話になっております。 株式会社〇〇の鈴木太郎。 ○○商品価格改定のお知らせ。 ○○○○円 → 新価格:○○○○円 ご確認のほどよろしくお願いいたします。
上の例文は、敬意や丁寧さを感じられず、短く簡潔な表現が不誠実な印象をあたえます。
下のように、敬語を用いて、語尾まできちんと書くほうが誠実な印象をあたえます。
◆ よい例 いつもお世話になっております。 株式会社〇〇の鈴木太郎です。 この度は、○○商品の価格改定についてお知らせいたします。 ○○○○円 → 新価格:○○○○円 ご確認のほどよろしくお願いいたします。
書き手の想いや尊敬の念は、一文字一文字にあらわれ、相手に伝わります。
堅い文章やビジネス文書においては、体言止めを使わずに丁寧な表現で書きましょう。
正確な情報を伝える必要があるから
誤解をあたえない
ビジネスの場では、情報を正しく明確に伝える必要があります。
具体的な説明を用いて、正確な内容を的確に伝えることを求められます。
体言止めは、内容を抽象化する表現方法なので、具体的な情報を伝えるときは、使用を控えるのが適切です。
とくに、提案書や報告書などの文章中で体言止めを使用すると、文脈や意図が曖昧になり、正確な意味が伝わりません。
たとえば「経費を削減する」という文を考えてみましょう。
体言止めを用いて「経費を削減」と書くと「削減」を「目指す」のか「現在している」のか「過去にした」のかを把握できず、正しく理解できません。
箇条書きであれば、名詞で終わらせても端的に伝わるので構いませんが、文章中で使う場合には、語尾を最後まで書きあらわして説明しなければ、正確な意味を伝えられません。
誤解や混乱を招かないためにも、ビジネスの場では、文脈の意図をはっきりと伝える表現を心がけましょう。
信頼をしめす必要があるから
相手からの信用を損なわない
体言止めは、事実か推測かを曖昧にし、文章に奥行きを持たせる効果があります。
一方で、ぼんやりとした文章になってしまうため、堅さや真面目さを欠き、信頼を損なう可能性があります。
文学作品や創造的な文章では、それでもよいのですが、ビジネスの場には、ふさわしくありません。
ビジネス文章では、裏付けにもとづいたデータを使用し、誤解を生まない表現で事実を伝える必要があります。
事実か憶測かわからない曖昧な表現で伝えると、信頼の乏しい情報だと認識され、相手からの信用を失います。
良好なコミュニケーションを築き、信頼関係を構築するためにも、ビジネスの場では、体言止めを使わないようにしましょう。
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その他の表現「省略法」の使い方
体言止めも省略法のひとつですが、そのほかにも主語や述語を省略し、余韻を持たせて印象づける表現方法があります。
具体的には、文末にある助動詞を省いた省略法であらわします。
わかりやすく例文を見てみましょう。
ついに京都へ拡大します ↓ ついに京都へ拡大 茶の湯プランが一番人気です ↓ 茶の湯プランが一番人気
上のように「です」「します」「しています」などの語句を省く表現方法です。
もっとも伝えたい言葉を最後に持ってくることで、意図的にその言葉を印象づけることができます。
つぎは述語ごと省略してみましょう。
京都中の桜を見に行きます ↓ 京都中の桜を見に どんな出会いも人生の一部になります ↓ どんな出会いも人生の一部に 心を動かす撮影をしよう ↓ 心を動かす撮影を
述語そのものを省略することで、先に続く言葉を読者の想像力に任せることができます。
たとえとして、上にしめした「心を動かす撮影を」の例文を挙げますね。
例文に続く先の文章を想像してみましょう。
心を動かす撮影をすると世界中をアッと驚かすことが簡単にできる
30代の男性は、上のように読みとるかもしれませんね。
心を動かす撮影をすることで子供との思い出を一緒に作れる
一方、お父さんやお母さんは、子供のことを想像するかもしれません。
このように、省略法は文章の無駄を省いて引きしめることで、名ごりや余韻を感じさせてイメージを膨らませる効果があります。
体言止めや省略法など、あらゆる表現方法を学び、深みのある魅力的な文章を身につけましょう。
体言止めと倒置法の違い
体言止めと混同しやすい表現に、倒置法があります。
体言止めは、文末を名詞や代名詞で終わらせる表現方法です。
体言止めが名詞で終わるのに対して、倒置法は「は」「が」「を」などの助詞で終わる違いがあります。
体言止めと倒置法を比較した例文を見てみましょう。
◆ 体言止め 通常:母の一番の得意料理を食べました ↓ 体言止め:食べたのは、母の一番の得意料理
◆ 倒置法 通常:母の一番の得意料理を食べました ↓ 倒置法:食べました、母の一番の得意料理を
上の例文のように、倒置法は目的語などを倒置して用いるので、名詞で終わることはありません。
必ず「は」「が」「を」などの助詞で終わります。
もうひとつ例文を見てみましょう。
◆ 体言止め 通常:この宿の自慢は、窓から見える海だよ ↓ 体言止め:この宿の自慢は、窓から見える海
◆ 倒置法 通常:この宿の自慢は、窓から見える海だよ ↓ 倒置法:窓から見える海だよ、この宿の自慢は
こちらも、倒置法は最後が「は」の助詞で終わっています。
一方、体言止めは最後が「海」と名詞で終わっています。
倒置法と体言止めは、よく似ているので混同しがちですが、読者にあたえる印象が異なるので区別して使いましょう。
倒置法の使い方を知りたい場合は、下の記事で解説していますのでご参考くださいね。
くわしく知りたい
倒置法の意味とは?5つの効果をわかりやすく解説【例文つき】
おさらい:体言止めの意味とは?3つの効果と正しい使い方
体言止めとは、名詞や代名詞で文章を終える表現方法のことです。
体言止めを使うことで、リズムが加わり、テンポのよい読みやすい文章になります。
法律・健康・美容・ダイエットなどに関する文章や、論説文やビジネス文書などの真面目な文章には向かないので、注意して体言止めを使いましょう。
また、単調な文章を改善するには、表現力を磨くことも役立ちます。
下の記事では、語彙力が豊かになる方法を解説していますので、あわせてご覧くださいね。
おしまいに
体言止めは、ブログ記事やコラム、エッセイにとても有効で、文章に趣きと情緒的な雰囲気をあたえます。
親しみのある文章に変わりますので、ぜひ取り入れてみてくださいね。
最後までお読みいただきまして、ありがとうございます。
それでは、ごきげんよう。
桜御前