きょうは、算用数字と漢数字の使い分けについて綴ってまいります。
文章を書いているときに「これは算用数字で書くの?それとも漢数字で書くの?」と迷うことがあると思います。
数字の使い分けを間違えると、意味の伝わらない文章になってしまいます。
今回の日記では、算用数字と漢数字の正しい使い分けを6つのポイントに分けて解説します。
見分け方のポイントを押さえれば、使い分けは非常に簡単です。
言葉の仕組みを理解するとすぐに判断できるようになりますので、ぜひ一緒に身につけましょう
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算用数字と漢数字の使い分け
算用数字と漢数字の使い分けは、横書きの文章は算用数字、縦書きの文章は漢数字を使うことが一般的です。
ただし、横書きの場合でも、漢数字が適切な場合もあります。
そのようなときは、つぎのように使い分けると覚えやすいです。
たとえば、時間をあらわす数字は「1時、2時、3時」と数が変わるので算用数字を使います。
一方「唯一」の言葉に使う数字は「唯二」のように、ほかの数字に変わらないので漢数字を使います。
「鶴は千年」や「二人三脚」といった数を用いた慣用句や熟語がこれにあたります。
算用数字と漢数字の使い分けをくわしく分けたものを下にあらわします。
これらは「記者ハンドブック 」や「文化庁の資料(PDF P.17)」を参考にすると迷わずに使い分けられます。
今回の日記でも、上の資料などにもとづいて解説しますね
Ⅱ-4 数字の使い方
横書きでは算用数字を使う
例)令和2年11月26日 午後 2 時37分 72% 電話:03-5253-****
縦書き(官報、質問主意書等)では漢数字を使う
大きな数は、3桁ごとにコンマで区切る
4桁以上の数は、「5,000」「62,250 円」のように3桁ごとにコンマで区切る。
兆・億・万の単位は漢字を使う
「5兆、100億、30万円」のような場合には、兆・億・万を漢字で書くが、千・百は、例えば
「五千」「三百」としないで、「5,000」「300」と書く。
例) 101 兆 4,564 億円 1億 2,644 万 3,000 人
横書きであっても、語の構成用語として用いられる数などは、漢数字を使う
ア 熟語、成語、ことわざを構成する数
例)二者択一 千里の道も一歩から 三日坊主 再三再四 幾百 幾千 等
イ 常用漢字表の訓、付表の語を用いた数え方
例)一つ、二つ、三つ… 一人(ひとり)、二人(ふたり)…
一日(ついたち)、二日(ふつか)、三日(みっか)…
一間(ひとま)、二間(ふたま)、三間(みま)… 等
(「12 月 2 日」「2~5 人」のように、日にちを示したり、数を並べたりする場合、算用数字で表記を統一することがある。)
ウ 他の数字と置き換えられない数
例)三権分立 六法全書 七福神 二十四節気 等
エ 歴史、伝統文化、仏事等の用語
例)前九年の役 三国干渉 四代目坂田藤十郎 七五三 お七夜 四十九日 等
概数は漢数字を使う
例) 二十余人 数十人 十二、三か所 四、五十人
(算用数字で統一したい場合は、20 人余り、12~13 か所などと工夫する。)
ひとつ、ふたつ、みっつ…などの表記に漢数字を用いる理由
公用文では、算用数字を使った「1つ、2つ、3つ…」のような表記はしない。「ひとつ、ふた
つ、みっつ…」は、漢字の訓として整理されており、常用漢字表の語例欄に「一つ、二つ、三つ
…」が示されている。公用文では、「漢字の読み」というところに注目し、漢数字を用いることとな
っている。ただし、物事を数えるときに使うような場合には、算用数字の方が分かりやすい面があ
るため、広く一般に向けた広報等では用いることもある。
記事中の数字は、数量や順序などを示す場合は原則として洋数字、慣用句などは漢数字を用いる。見出しも本文と同様とする。
引用:共同通信社「記者ハンドブック 第13版」
語の構成用語として用いられる数などは、漢数字を使う。
引用:文化庁「新しい「公用文作成の要領」に向けて(PDF P.17)」
「12月2日」「2〜5人」のように、日にちを示したり、数を並べたりする場合、算用数字で表記を統一することがある。
では、それぞれの使い分けを見てみましょう。
算用数字を使い分ける3つのポイント
算用数字を使う分けるポイントは3つあります。
例文とあわせて見てみましょう。
ほかの数字に変わるとき
ほかの数字に変わるときは算用数字を使います。
「数えられる数字は算用数字」と判断することもできます。
例文を確認しましょう。
◆ 算用数字:ほかの数字でもOK ・彼女は1日で小説を書きあげた ・月に2回運動をする ・3階建ての学校に通う
上のように、ほかの数字に変えても語句が成りたつときは、算用数字を使います。
ほかの例文を見てみましょう。
◆ 漢数字:ほかの数字ではNG ・彼女は一戸建てに住んでいる ・ぽつんと一軒家が建っている
上の例文は、ほかの数字に変えると語句が成りたたないため、漢数字を使います。
このように、ほかの数字に変わる数字は算用数字を使いましょう。
順序をあらわす数字のとき
「1番目」「2番目」のように順序をあらわすときは、算用数字を使います。
◆ 算用数字:順序をあらわす数字 ・彼はクラスで1番の成績だ ・2つ目の角を左へ曲がる ・3冊目の本を読みはじめる
ただし、下の例文は、ほかの数字に変わらないため、漢数字を使います。
◆ 漢数字:ほかの数字ではNG ・何より桜が一番好きだ ・一から説明すべきだ ・半人前から一人前に認められた
このように、順序をあらわす数字は算用数字を使います。
数量をあらわす数字のとき
数量をあらわすときは算用数字を使います。
◆ 算用数字:数量をあらわす数字 ・お寿司を1人前頼む ・大さじ2杯のお酢を入れる ・10キロのお米を買う
おなじ「1人前」でも「2人前」や「3人前」のように人数分をあらわすときは算用数字を使います。
一方「半人前」「一人前」のように数字が語句を形成するときは漢数字を使います。
間違えると意味が正しく伝わらないので、注意して使い分けましょう。
つぎに、漢数字を使い分けるポイントを見てみましょう。
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漢数字を使い分ける3つのポイント
漢数字を使う分けるポイントは3つあります。
数字が語句を構成するとき
数字が語句を形成するときは漢数字を使います。
例文を見てみましょう。
◆ 漢数字:ひとつの意味のまとまり ・春一番が吹く ・日本三景を訪れた ・六法全書を片手に勉強した
上の例文は、数字が語句を形成しているため、ほかの数字に変えられません。
「春二番」「日本四景」「七法全書」とほかの数字に変えられないですよね。
このような場合は漢数字を使います。
慣用句や・ことわざ・熟語をあらわすとき
慣用句やことわざ、熟語をあらわすときも数字が語句を形成するため、漢数字を使います。
それぞれ例文を見てみましょう。
◆ 漢数字:慣用句をあらわす ・二つとない機会だ ・三度目の正直で挑んだ ・その件は百も承知だ ◆ 漢数字:ことわざをあらわす ・石の上にも三年 ・一を聞いて十を知る ・千里の道も一歩から ◆ 漢数字:熟語をあらわす ・十中八九は成功する ・第三者の意見を聞く ・彼は四天王と呼ばれている
判断に迷ったときは、漢数字であらわす言葉を算用数字に置きかえると理解しやすいですよ。
試しに、具体例を見てみましょう。
◆ 漢数字を算用数字に置きかえてみる ・百も承知→100も承知 ・二足のわらじ→2足のわらじ ・十中八九→10中89
数字が語句を形成しているので、正しく意味が伝わりませんよね。
このように、ほかの数字に変わらない語句を形成する数字は漢数字を使いましょう。
漢数字使用の例
(2)熟語、故事、成句、慣用句
(例)一丁上がり 一日船長 一人二役 第二の人生 三角形 第三者 三権分立 五月雨
横書きであっても、語の構成用語として用いられる数などは、漢数字を使う
ア 熟語、成語、ことわざを構成する数
例)二者択一 千里の道も一歩から 三日坊主 再三再四 幾百 幾千 等
固有名詞や地名をあらわすとき
固有名詞や地名をあらわすときは漢数字を使います。
「四国」や「九州」といった地名や「一郎」「三田」「三十三観音」といった固有名詞をあらわす場合です。
これらは固有の名詞をあらわし、ほかの数字に変えられないので漢数字を使いましょう。
ここまで、算用数字と漢数字の使い分けを見てきましたが、ほかにも覚えておきたい使い分けがあります。
つぎは、算用数字と漢数字の特殊な使い分けを見てみましょう。
覚えておきたい!特殊な使い分け6つ
算用数字と漢数字の使い分けで、覚えておきたい使い分けが6つあります。
数字をくり返すとき
「ひとりひとり」や「ひとつひとつ」など、数字をくり返すときは漢字とひらがなをあわせて使いましょう。
◆ 漢字とひらがなの両方:数字をくり返すとき ・一人ひとりに尋ねます ・一つひとつ確認します
ただし「一人一人」や「一つ一つ」とあらわしても間違いではありません。
絶対的な正解がないため、文章にあわせて読みやすいほうを使いましょう。
漢字とひらがなの使い分け方を知りたい場合は、下の記事で解説していますのでご参考くださいね。
くわしく知りたい
漢字とひらがなの使い分け!迷ったときのポイントとルール【一覧つき】
数字の桁数が多いとき
人口や金額をあらわすときなど、数字の桁数が多いときは算用数字と漢数字をあわせて使います。
◆ 算用数字と漢数字の両方:数字の桁数が多いとき ・1,000までの数字 →算用数字を使う ・それ以上の数字 →万・億・兆の漢数字とあわせる
実際に確認するほうがわかりやすいので、例文を見てみましょう。
・ビタミン1,000mg配合 ・日本の人口は1億3,000万人だ ・総資産1兆7,000億円です
このように、4桁の数字までは算用数字を使います。
それ以上の数字は「万・億・兆」といった漢数字とあわせて使いましょう。
1万以上の数字には万、億、兆などの単位語を付ける。
(例)123億567万円 10兆4500億円 15万人
単位語の十、百、千は原則として使わない。
「千」はきりのいい数字に限り使う。
ただし株価指数やエンジンの排気量、スポーツの競技名など定着した表記は「千」を使わない。
(例)(かっこ内のようにしない)
700人(×7百人)
9870円(×9千870円)
1万5千円 3千メートル級の山々 2000ccのセダン
(注)1000 ちょうどを表すときは、原則として単に「千個」「千本」などとし「1千」としない。
「万、億、兆」などの単位語が付く場合は「5万1千人」「1千万ドル」などと「1」を入れる。
大きな数は、3桁ごとにコンマで区切る
4桁以上の数は「5,000」「62,500」のように3桁ごとにコンマで区切る。
兆・億・万の単位は漢字を使う
「5兆、100億、30万円」のような場合には兆・億・万を漢字で書くが、千・百は、例えば「五千」「三百」としないで「5,000」「300」と書く。
例) 101兆4,564億円 1億2,644万3,000人
全体のひとつをあらわすとき
全体のうちの「ひとつ」をあらわすときは、ひらがなを使います。
こちらも、実際に確認するほうがわかりいやすいので例文を見てみましょう。
・大切な要素のひとつです ・重要人物のひとりだ
「一つ」や「1つ」であらわしても間違いではありません。
文章にあわせて使い分けましょう。
大よその数をあらわすとき
大よその数をあらわすとき、読み間違いの恐れがあるときは漢数字を使います。
「2、300人」とあらわすより「二、三百人」「数百人」と書いたほうが理解しやすくなります。
ただし「2、3人」のように読み間違える恐れがなく、算用数字のほうが読みやすいときは、算用数字でも構いません。
曖昧な数の表記で、洋数字では読み違いの恐れなどがある場合
(例)十四、五歳(×14、5歳)
二、三百人(×2、300人)
二十数人(×20数人)
数十人(×数10人)
二千数百円(×2千数百円)
三十余年(30余年)
五、六十万トン(×5、60万トン)
何百円(×何100年)
(例外)
「2、3人」「4、5千万円」「5、6億ドル」や「2万数千人」「12億 数千万円」は洋数字でよい。
「30年余」「1年数カ月」は洋数字
概数は漢数字を使う
例)二十余人 数十人 十二、十三か所 四、五十人
(算用数字で統一したい場合は、20人余り、12〜13か所などと工夫する。)
住所の番地を書くとき
住所を記入するときに「3丁目?」「三丁目?」とどちらで書くべきか迷うことがありますよね。
住所の正式な表記は、自治体によって異なります。
たとえば横浜市では、区によって表記の仕方が異なり、南区の場合は算用数字で「〇丁目」とあらわします。
◆ 横浜市南区役所 〒232-0024 住所:横浜市南区浦舟町2丁目33番地 ◆ 横浜市旭区役所 〒241-0022 住所:横浜市旭区鶴ケ峰一丁目4-12
正しい表記は、自治体に確認すると教えてもらえます。
自分の住所の正しい書き方を知りたい場合は、マイナンバーカードなど、自治体から発行された書類を確認するとわかりますよ。
漢数字と算用数字が混じるとき
性質上どうしても算用数字と漢数字の混在を避けられない言葉があります。
たとえば、先ほどの桁数の大きな数字もそうですが、ほかにも下のような言葉があります。
上のような場合は、無理にどちらかに合わせる必要はなく、そのまま表記しても構いません。
「一家」は熟語なので漢字「4人」は数えられる数字なので算用数字であらわします。
算用数字と漢数字が混じるときは、表記ルールにしたがいましょう。
性格の異なる数字の表記は漢数字と洋数字に分かれる場合もある
(例)一家4人
板橋区立第三小6年3組
文章を書いたら正しい表記で執筆しているか、最後に読み返すと間違いのない記事を納品できます。
下の記事では、文章校正の方法をくわしく解説していますので、ぜひ参考にしてお役立てくださいね。
くわしく知りたい
文章校正のチェック項目10のポイントと効率よく見直す4つの方法
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算用数字と漢数字を使うときの注意点
算用数字と漢数字を使うときに注意すべき点があります。
正解が1つにならないときは一方に統一する
算用数字と漢数字の使い分けは、わかりやすい使い分けがある場合とそうでない場合があり、必ずしも正解がひとつにならないことがあります。
そのようなときは、どちらか一方に統一し、文章中に2つの表記が混ざらないようにしましょう。
たとえば、つぎのような場合です。
統一感のない文章は、読者に違和感をあたえるため、文章が読みにくくなります。
読者や文章の内容に合わせて、ひとつの表記に統一しましょう。
算用数字は半角であらわす
算用数字を用いるときは、半角であらわします。
漢字やひらがなとの違いが明確になり、言葉を捉えやすくなります。
正しい表記の仕方を知りたい場合は、下の記事を参考にすると理解が深まりますので、あわせてご覧くださいね。
くわしく知りたい
表記ゆれとは?15のチェックポイントとゆらぎを防ぐ方法
算用数字と漢数字の違い
最後に、算用数字と漢数字の違いについて簡単に見てみましょう。
算用数字とは、0、1、2、3、からはじまる数字を意味します。
それに対して漢数字は、一、二、三、…や百、千、万、億、兆、…の数字をあらわします。
とくに「一、二、三」といった漢数字の代わりに用いる数字「壱、弐、参」を大字(だいじ)といいます。
算用数字と漢数字は、上の3つの種類に分けられます。
「ほかの数字に置きかえられるのか」「ひとつの語句を構成しているのか」を正しく判断して、算用数字と漢数字を使い分けましょう。
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おさらい:算用数字と漢数字の使い分け
算用数字と漢数字の使い分けは、横書きの文章は算用数字、縦書きの文章は漢数字を一般的な目安にしましょう。
それに当てはまらないときは、つぎを基準に使い分けると判断しやすいです。
ただし、わかりやすく使い分けられる場合と、そうでない場合があります。
そのようなときは、どちらか一方に統一し、2つの表記が混ざらないように注意しましょう。
参考書籍
『記者ハンドブック 』
『漢字の使い分け辞典』
『新しい文章力の教室』
算用数字と漢数字の使い分けをマスターしたら、カタカナ表記の方法を理解することもおすすめです。
カタカナ表記の正しい使い方は、下の記事で解説していますので、ぜひご参考くださいね。
おしまいに
「二大政党」と「2大政党」、「日系三世」と「日系3世」は明確な使い分けの線引きがありません。
この場合も読みやすいほうを使いましょう。
最後までお読みいただきまして、ありがとうございます。
それでは、ごきげんよう。
桜御前