きょうは、Webライターに関わる法律「景品表示法」について綴ってまいります。
景品表示法とは、消費者が商品サービスを適切に判断して選べるよう、品質・内容・価格などを偽って表示することを規制する法律です。
正式名称を「不当景品類及び不当表示防止法」といい、一般消費者の利益を守るために設けられた法律です。
- 「景表法の言葉は聞いたことあるけれど、くわしく知らない…」
- 「Webライティングに関わることは知っているけど、きちんと理解できているか心配…」
- 「法律に関わる内容で理解するのがむずかしい…」
「景品表示法の知識がWebライティングに必要なのはわかったけど…」とむずかしく感じる方も多いと思います。
今回の日記では、景品表示法の内容や気をつけたいポイント、注意点をわかりやすく解説します。
景品表示法には「景品類の制限及び禁止」と「不当表示の禁止」の2つの規定がありますが、今回はライティングに関わる「不当表示の禁止」について紹介します。
景品表示法を正しく理解すると、法律に違反しない表現で情報を届けることができ、読者や発注先に安心と信頼をしめせます。
評価と信頼を得られれば、案件獲得の機会も大きく広がります。
Webライターとしての価値も高まりますので、ぜひ一緒に学びましょう
薬機法・景品表示法の資格について知りたい場合は「薬機法管理者はどんな資格?取得するメリットや難易度を解説!」をご覧くださいね。
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景品表示法とは?
景品表法の意味
景品表示法とは、ウソや大げさな表現など、 消費者をだますような表示を禁止する法律のことです。
たとえば「業界初!販売実績No.1のおすすめ商品!」といった広告をみると、消費者は「販売実績No.1なら素晴らしい商品に違いない!」「高品質でお買い得だ!」と誤解してしまいますよね。
このように根拠がないにもかかわらず、実際よりも良い商品サービスであるかのように表現することを禁止する法律をいいます。
とくに、商品サービスを紹介する記事を書くときは、景品表示法に反しないよう、適切な表現を心がけて執筆することが大切です。
景品表示法の目的
景品表示法の目的は、誤解を招く表示をしている商品サービスから消費者を守ることです。
大まかに2つのルールを設けて取り締まっています。
景品表示法では、消費者をだますような言葉で商品を買わせようとしたり、実際の商品よりも優れた景品をつけて買わせようとしたりする行為を禁止しています。
たとえば、商品の効果や性能を実際よりも遥かに良く見せるために、偽った表示をすることは景品表示法に反します。
また、消費者が景品に惑わされて商品の価値を正しく判断できないようにするために、豪華な景品を提供することも禁止行為に含まれます。
商品サービスに応じて最高金額が設けられており、限度を著しく超えない範囲の景品を提供する必要があります。
景品表示法は、種類に関係なく、あらゆる商品サービスが対象になるので、自分の書く文章が企業や消費者に対して信頼をあたえる表現になっているか、十分に確認して記事を納品することが大切です。
では、景品表示法の意味を理解したら、どのような人が規制の対象になるのかを見てみましょう。
景品表示法の対象になるのはどんな人?
景品表示法の対象になるのは「不当な表示の決定に関わった人」です。
「不当な表示の決定に関わった人」には、つぎのような人があてはまります。
たとえば、製造会社Aが商品と商品説明書を小売業者Bへ納品し、小売業者Bがその商品説明書にもとづいて広告を作成した場合、小売業者Bは規制の対象になります。
なぜなら、誤った商品説明書を納品したのは製造会社Aですが、広告内容を決定したのは小売業者Bだからです。
上の「他の人の説明にもとづいて表示内容を決定した」に該当するので、小売業者Bは規制の対象になります。
景品表示法のうえでは、広告代理店や出版社、新聞社やメディア媒体などは原則、規制の対象になりませんが、広告を作成する者として不当表示をしないように心がける必要があります。
では、どのような表示が規制の対象になるのでしょう?
つぎは、景品表示法の規制にあてはまる表示物を見てみましょう。
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景品表示法の対象になるのはどんなもの?
景品表示法のあらわす「表示」の対象には、商品サービスを購入してもらうために用いる広告や表示物全般が含まれます。
具体的には、つぎのような表示物があてはまります。
普段、私たちが目にするほとんどの広告や表示物が景品表示法の対象になると理解するとよいでしょう。
不当表示の種類
景品表示法で禁止されている不当表示には、どのようなものがあるのでしょう?
とくに、商品紹介の記事や広告のライティングをするときに知っておきたい禁止事項は、つぎの4つです。
優良誤認表示(ゆうりょうごにん)
優良誤認表示とは、実際の商品サービスよりも「品質や規格がとても優れている!」と消費者に誤解をあたえる表示のことです。
つぎの3つの表示内容についてルールが設けられています。
種類 | 表示内容 |
---|---|
品質 | 成分(原材料・純度・添加物) 属性(性能・効果・鮮度) |
規格 | 等級(国・公共機関・民間団体の認証を経て表示) |
その他の内容 | 品質・規格に間接的に影響すること(原産地・製造方法・受賞の有無・有効期限など) |
たとえば、国産牛肉と書かれてた商品が、実際には外国産であった場合、優良誤認表示にあてはまります。
優良誤認表示であることを指摘されると、表示を裏付けする根拠を消費者庁に提出しなければなりません。
提出できなければ、広告の取り消し、修正を求められます。
品質・規格・内容をアピールするときは、実証された内容をもとに表示を行い、誤解をあたえないように適切な表現を心がけることが大切です。
有利誤認表示(ゆうりごにん)
有利誤認表示とは、価格を著しく安くみせかけるなど、実際よりも「お得だ!」と消費者に誤解をあたえるような取り引き条件を表示をすることです。
つぎの表示内容についてルールを設けています。
たとえば、気になる商品のセールが「本日まで」と表示されていたので「お得だから今のうちに買っておこう!」と思い購入したのに、実際にはそのセール期間はウソであり、常にその価格で販売されていたというケースは、有利誤認表示にあてはまります。
「本日まで」「今だけ!」と書かれていると、今買わなければ損をするかもしれない!と思い購入してしまいますよね。
有利誤認表示は、消費者に「これはとてもお得だ!」と思わせておいて、実際にはそうではないのに偽って表示することを指します。
価格の内容が適切に表示されていないので、不当表示の対象になります。
その他誤認されるおそれのある表示
「優良誤認」と「有利誤認」のほかにも、景品表示法の規制対象になる表示があります。
つぎの6つが、消費者に誤解をあたえる表示として禁止行為に定められています。
無果汁の清涼飲料水などについての表示
無果汁の清涼飲料水などについては、果汁の割合に関してルールが設けられており、果汁が含まれていると誤解させる表示を禁止しています。
◆ 禁止事項の一例 無果汁・無果肉であることを表示していない、または果肉の割合を表示していない場合、果実名を用いた商品名の販売・説明文の表示を禁止する
商品の原産国に関する不当な表示
商品の原産国について、虚偽の表示が行われることを防ぐために規定が設けられています。
◆ 禁止事項の一例 消費者にとって原産国の判別がむずかしい商品サービスにおいて、原産国以外の国名・地名・国旗の表示を用いて販売することを禁止する
たとえば、洋服のタグにイタリアの国旗が表示されていたら、消費者はどこの国で作られた洋服なのか判別できないので、イタリアで製造された洋服だと勘違いしますよね。
本当にイタリアで作られていれば表示しても構いませんが、そうでない場合は不当表示になります。
消費者信用の融資費用に関する不当な表示
金融商品において費用や金利など、虚偽の表示が行われることを防止しています。
◆ 禁止事項の一例 消費者信用の融資費用について、実質年率が明瞭に記載されていない場合、アドオン方式による利息・手数料・その他の融資費用の率を表示することを禁止する 表示するときには、アドオン方式の年率だけでなく、実質金利に置き換えた年率も表示をすること
金融商品をおすすめするときは、消費者が借り入れるときにかかる費用(利息や手数料など)をわかりやすくしめすために「実質年率」を明確に記載する必要があります。
実質年率とは、年間の利息・手数料を含んだ費用を率であらわした数値のことで、消費者が実際に支払う負担を把握しやすくするための指標です。
一方、アドオン方式とは、実質年率をしめさずに利息・手数料などの費用を別々に加算して提示する方法のことです。
これにより、消費者は実際の費用の負担額を把握しにくくなります。
景品表示法では、消費者の保護を目的として、借り入れにかかる費用をわかりやすくしめすために実質年率の記載を義務づけており、アドオン方式のみによる費用の表示を禁止しています。
そうすることで、消費者が正確な情報を把握でき、適切に融資商品を選択できるようになります。
おとり広告に関する表示
実際には購入できないにも関わらず、消費者の興味を惹くために、偽った表示をすることを禁止しています。
◆ 禁止事項の一例 消費者を誘い入れる手段として、商品サービスの供給量が著しく限定されているにもかかわらず、その旨を記載していない表示は不当とみなす
たとえば「大好評のため品切れになりましたので他の商品をご用意しました!」と実際の状況とは違うにもかかわらず、消費者を引きつけるために事実と反する表示をすることを指し、そのような行為を禁止しています。
不動産のおとり広告に関する表示
実際には取り引きできない不動産にも関わらず、消費者の興味を惹くために、偽った表示をすることを禁止しています。
◆ 禁止事項の一例 実在しない物件にも関わらず、消費者を誘い入れる手段として、架空物件の住所や番地を記載して表示することを禁止する
実在しない物件を表示することは、消費者を誤解させる不当な営業行為とみなされ、不当表示の対象になります。
有料老人ホームに関する不当な表示
老人ホームなどの介護施設において、提供するサービスや費用に関して虚偽の表示を行うことを防ぐために禁止しています。
◆ 禁止事項の一例 有料老人ホームの施設や設備、サービスについて夜間の最小の介護職員数・看護師数などを明確に記載していない表示を禁止する
打消し表示
打ち消し表示とは、商品サービスについて特長やメリットを説明するときに、その内容に例外があることをしめす注釈のことです。
商品サービスの強みをアピールするときは、その内容がすべてのケースに当てはまるわけではないので、例外があることを明確にしめす必要があります。
たとえば「最大6時間の効果が持続!」という表示があった場合、実際にはすべての人にその時間の効果が保証されるわけではありませんよね。
そのため、打ち消し表示を用いて、例外があることを記載する必要があります。
製品の説明に「個人によって効果の持続時間は異なります」のような打ち消し表示を追加することで、消費者に対して正確な情報提供を行えます。
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不当表示の具体例
では実際に、不当表示の具体例を見てみましょう。
優良誤認表示
優良誤認表示とは、実際の商品サービスよりも「品質や規格がとても優れている!」と消費者に誤解をあたえる表示のことです。
実際の品質とは異なる表示をしていた例
広告には「紫外線カット率99%」と表示しており、紫外線を99%カットする紫外線断熱素材を使用してつくられた衣料であるかのように記載しているが 、実際には紫外線を50%しか遮断できない商品であった場合を指します。
参考:消費者庁「不当景品類及び不当表示防止法第7条第2項の運用指針」PDF8ページ
有利誤認表示
有利誤認表示とは、価格を著しく安くみせかけるなど、実際よりも「お得だ!」と消費者に誤解をあたえる表示のことです。
販売価格を偽って表示していた例
広告には、レンズ+フレーム一式の価格を「メーカー希望販売価格の半額」と表示しているにもかかわらず、実際にはメーカー希望価格の設定は存在しない商品であった場合を指します。
参考:消費者庁「不当な二重価格表示の具体例」
これは有利誤認表示のひとつである「二重価格表示」にあてはまります。
二重価格表示とは「通常価格」と「より高いまたは安い販売価格」の2つを並べて記載することで、消費者にお得であると誤った認識を促す表示のことです。
比較対象の価格を適切に記載しておらず、消費者の誤解を招く表示のため、規制の対象になります。
その他誤認されるおそれがある表示
その他にも、消費者に誤解をあたえる表示を禁止する例があります。
明確な表示をせずに販売していた
無果汁・無果肉、または果肉果汁が5%未満の清涼飲料水は、果肉の割合を明瞭に記載しなければ、果実の絵を使用できません。
それにも関わらず、果実の絵を使用している場合は、規制の対象になります。
参考:消費者庁「その他 誤認されるおそれのある表示」PDF11ページ
では、景品表示法に違反したらどうなるのでしょう?
つぎは、罰則について見てみましょう。
景品表示法に違反した場合の罰則
景品表示法の管理は、消費者庁・公正取引委員会・都道府県の自治体が連携して行っています。
上の3つの機関により調査されて景品表示法の違反が認められると、措置命令や課徴金納付命令を受けることになります。
措置命令
消費者庁によって違反行為を指摘されると「措置命令」が出されます。
措置命令には、つぎの内容が含まれます。
措置命令は、事業者に対して違反の行いを改めさせて、再発防止を促すものです。
なお措置命令の内容は、消費者庁によって公表されることもあります。
罰則
措置命令に従わないときは、罰則を科せられます。
罰則はつぎのとおりです。
措置命令に従わない場合は、違反の重大性や悪質性に応じて罰則が科されることがあります。
これらの罰則は、法を守ることを促し、消費者の保護を強化するために行われます。
課徴金納付命令
優良誤認表示や有利誤認表示を行った事業者に対しては、課徴金の罰則を科せられます。
支払う金額は、対象の商品サービスの売上に3%を乗じた金額です。
違反行為を行っていた期間の総売上に3%を乗じて支払う必要があります。
このように、景品表示法に違反した場合は、その事業者は厳しく罰せられます。
発注者や企業に迷惑をかけないためにも、記事を作成するときは、商品サービスや依頼された内容をよく理解して、正確な情報を適切な表現で執筆するよう心がけましょう。
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景品表示法でWebライターが注意すべきポイント
景品表示法において、Webライターがとくに気をつけるべき点は、優良誤認表示と有利誤認表示です。
「商品の特徴や性能」「商品の値段や特典」について記載するときは、景品表示法に触れないように気をつけましょう。
優良誤認表示
優良誤認表示は、実際の商品サービスよりも、品質・規格・内容などが良いと誤解させる表示をすることです。
商品の特徴や性能に、誇張を含む表現や虚偽の表示を行うことは違法になります。
たとえば、健康食品に含まれる栄養成分の配合を実際よりも高く表示したり「業界初の高品質!」と事実に反して誇大に表現したりすることは優良誤認表示にあたります。
優良誤認表示を避けるには、その商品サービスの特徴や性能をきちんと調べ、正確な情報を記載することが大切です。
虚偽の表示や誇張した宣伝を行わず、事実にもとづいた表現を心がけましょう。
有利誤認表示
有利誤認表示は、消費者にお得であると誤解をあたえる表示をすることです。
商品の値段や特典について誤解を招く表現をしたり、緊急を要するよう、故意的にあおって購入を促したりする行為は有利誤認に当たります。
たとえば、いつも同じ価格で販売している商品なのに「期間限定!特別価格!」と宣伝し、消費者に誤った判断をあたえる表示は、有利誤認表示に含まれます。
記事の執筆においてWebライターは、正確な情報提供と読者の利益を優先することを求められます。
特典や割引に関する条件や期間、内容などを表示するときは、明確に記載することで誤認を防げます。
景品表示法を理解し、具体的な表現やわかりやすい言葉を用いて、信頼できる記事執筆を行いましょう。
では、景品表示法を理解できたら、似たような法律である薬機法との違いについて見てみましょう。
景品表示法と薬機法の違い
景品表示法と薬機法の違いは、対象の範囲による違いがあります。
景品表示法は、あらゆる商品サービスの表示に適用されるのに対し、薬機法は、化粧品をはじめとする医療に関連する製品を対象にした法律です。
/ | 薬機法 | 景品表示法 |
---|---|---|
目的 | 医薬品・医薬部外品・化粧品などの品質・有効性・安全性を確保すること | 消費者が適正に商品サービスを選べるように保護すること |
禁止事項 | 医薬品などを誇大な表現を用いて広告すること 承認範囲外の効果効能を表示すること | 商品サービスの品質や価格などを不当に表示すること |
対象者 | すべての人 | 商品サービスを提供する事業者 |
対象物 | 医療に関連する製品 | すべての商品サービス |
罰則 | 行政指導 刑事処罰 課徴金納付命令 | 措置命令 課徴金納付命令 |
管轄 | 厚生労働省 都道府県 | 消費者庁 公正取引委員会 都道府県 |
また、景品表示法では、広告代理店や掲載メディアは規制の対象になりませんが、薬機法においては、商品の販売元だけでなく、広告代理店や掲載メディア、ブロガーやアフィリエイター、インフルエンサーなど、すべての人が規制の対象となることも押さえておきたいポイントです。
薬機法について知りたい場合は、下の記事でわかりやすく解説していますのでご参考くださいね。
くわしく知りたい
薬機法とは?ライターが知っておきたいポイントや注意点を徹底解説!
おさらい:ライターが知っておきたい景品表示法
景品表示法を理解することは、消費者が商品サービスを適正に選択することを守ることにつながります。
記事を執筆するときには、品質や規格など、表示の内容を正しく表示し、誤解をあたえないように伝えることが大切です。
誤認なくアピールするためにも、客観的な根拠をもとに記事作成を行いましょう。
また、Webライターとして本格的に活動するなら、著作権や下請法について知ることもおすすめです。
下の記事では、著作権の内容や引用のルールをわかりやすく解説していますので、あわせてご覧くださいね。
おしまいに
意識せずに文章を書いてしまうと「景品表示法にひっかかっていた!」という事態になりかねません。
とくに、人体に影響を及ぼす商品サービスにおいては、厳しく取り締まりが行われているので注意が必要です。
読者や発注先からの信頼を損なわないためにも、これを機会にぜひ景品表示法の理解を深めてくださいね。
最後までお読みいただきまして、ありがとうございます。
それでは、ごきげんよう。
桜御前