きょうは「話し言葉」と「書き言葉」について綴ってまいります。
「話し言葉」と「書き言葉」は日常でもよく耳にしますよね。
しかし「くわしく説明して」と言われると意外にむずかしいことに気づきます。
話し言葉は日常会話で使う言葉であり、書き言葉は文章を書くときに使う言葉です。
話し言葉 | 書き言葉 |
---|---|
一応 | 念のため |
さっき | 先ほど |
ちょっと | 少ない |
すみません | 申し訳ございません |
問題ないです | 問題ありません |
私たちが話す「話し言葉」と、公式な文書やビジネスシーンで求められる「書き言葉」は混同しやすいため、正しい使い分けを理解することが大切です。
そこで今回の日記では「話し言葉」と「書き言葉」の違いと正しい使い分けを解説します。
間違えやすい表現や注意すべきポイントを知ることで、正しく使い分けられるようになりますので、一緒に学習しましょう。
「話し言葉」を適切な「書き言葉」にする方法を一覧表にしていますので、迷ったときはぜひお役立てくださいね
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「話し言葉」と「書き言葉」の意味
はじめに「話し言葉」と「書き言葉」の意味を見てみましょう。
「話し言葉」は会話をするときの言葉を指し「書き言葉」は文章に用いる言葉を指します。
一般的な書籍や紙面、Webライティングの文章は「書き言葉」を用いて書きます。
文体には、文語体と口語体があり、口語体は「書き言葉」と「話し言葉」に分かれます。
文章を書くときは文語体を避け、話し言葉を書き言葉に直して語尾の「ですます調」と「だである調」を統一して書きます。
なお「ですます調」と「だである調」の使い方を知りたい場合は、下の記事をご参考くださいね。
くわしく知りたい
一覧表つき「です・ます調」「だ・である調」の使い方と変化のつけ
「話し言葉」と「書き言葉」の違いと正しい使い分け
「話し言葉」と「書き言葉」の意味が理解できたら、それぞれの違いと使い分けを見てみましょう。
「話し言葉」と「書き言葉」の違い
「書き言葉」は論文や記事などの文章を書くときに用いる言葉です。
「書き言葉」を用いると、あらゆる層の読者に誤解をあたえず、だれが読んでも理解できる文章になります。
一定の決められたルールがあり、方言や流行語などによって言葉が乱れることがありません。
一方「話し言葉」は歴史が浅く、正式な言葉として認められていません。
なぜなら「話し言葉」は、倒置・中断・語順の入れ替わりといった言葉の乱れがおきやすく、方言が用いられることもあるからです。
また、やわらかみを持たせるために直接的な表現を避けたり「ああ」「まあ!」「うん」などの感嘆詞や疑問詞が使われたりすることもあるためです。
「話し言葉」と「書き言葉」の具体例は、つぎのとおりです。
話し言葉 | 書き言葉 |
---|---|
です・ます | だ・である |
いっぱい | 多い |
ちょっと | 少し |
とても | 非常に |
すごく | きわめて |
ちゃんと | きちんと |
だんだん | 次第に |
どっち | どちら |
さっき | 先ほど |
やっぱり | やはり |
一応 | 念のため |
じゃない | ではない |
でも だけど | だが しかし けれども |
上のように、さまざまな違いがありますが「話し言葉」と「書き言葉」は求められる役割がそれぞれ異なります。
つぎは、使い分けるポイントを見てみましょう。
「話し言葉」と「書き言葉」に適した文章
「話し言葉」は、相手と向かい合って話すときに使う言葉です。
一方「書き言葉」は、文章を書くときに使う言葉です。
しかし、種類によっては「話し言葉」を用いて書く文章があります。
使い分けるポイントを知るために「話し言葉」と「書き言葉」がどのように使われるのかを見てみましょう。
話し言葉 | 書き言葉 |
---|---|
エッセイ 私的なブログ SNS | 記事 |
キャッチコピー | 新聞 |
私的なメール | ビジネス文書 ビジネスメール |
会話文 | レーポート 論文 |
正確性を重視する公的文書やビジネスの文章には「書き言葉」を使います。
その際は、相手に対する敬意や信頼をしめすために、正しい日本語と適切な表現を使います。
ただし、私的なブログやSNSのような読者層が明らかな場合は「話し言葉」を使うほうが効果的なこともあります。
書き手の意図が直感的に伝わり、意味やニュアンスを理解しやすくなるからです。
欲求を刺激するキャッチコピーを使うときも「話し言葉」のほうが目にとまりやすくなる効果があります。
これらを踏まえて「話し言葉」と「書き言葉」を使うときは、伝える内容や伝える相手、手段を考えてふさわしい言葉を選ぶことが大切です。
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「書き言葉」の正しい使い方8つ
文章を書くときに、話し言葉は自然と出てしまいますよね。
そこで「話し言葉」と「書き言葉」が混じり合わないように、つぎは「書き言葉」の正しい使い方を見てみましょう。
「書き言葉」の正しい使い方はつぎの8つです。
「あっ!話し言葉だ」と気がついたら、すぐに「書き言葉」に直せるようにしましょう。
不要な言葉をなくす
「いく」「に対して」「する中で」などの不要な言葉をなくします。
これらの言葉は、主語や動詞を修飾する役割を持ちますが、一部の文脈では不要な場合があります。
要らない言葉を省略することで簡潔な文章になり、内容を効果的に伝えられます。
◆ いく ×:このような不要な言葉は避けていきます ↓ 〇:このような不要な言葉は避けます
◆ に対して ×:お客様に対して丁寧な対応をいたします ↓ 〇:お客様に丁寧な対応をいたします ×:学校は安全に対しての対策がいつも遅い ↓ 〇:学校は安全の対策がいつも遅い
◆ の中で ×:クラブ活動をする中で自分の夢に気づきました ↓ 〇:クラブ活動をして自分の夢に気づきました ×:我々の中で信頼関係が芽生えはじめました ↓ 〇:我々に信頼関係が芽生えはじめました
そのほかにも「基本的には」「普通は」「ある意味」「自体」といった曖昧な表現も「書き言葉」にはふさわしくありません。
◆ 基本的には ×:基本的には、この方法で問題が解決します ↓ 〇:この方法を用いれば、問題を解決できます
◆ 普通は ×:普通はこのように対処します ↓ 〇:このように対処します 〇:通常はこの方法を用いて対処します
◆ ある意味 ×:ある意味で彼の意見は正しいです ↓ 〇:彼の意見は正しいです 〇:一定の観点から見れば、彼の意見は正しいと言えます
◆ 自体 ×:この商品自体は問題ない ↓ 〇:この商品は問題ない
上の表現は、主観的な解釈や個人的な意見を含んでおり、正確さや客観性に欠けます。
意図的に使用する以外は使わないようにし、伝わりやすい表現を用いて意味を理解しやすくしましょう。
二重表現を使わない
「必ず必要です」「まず初めに」のように、同じ意味の言葉を重ねることを二重表現といいます。
文章にした場合、過剰な表現になり、適切ではありません。
「必ず」「必要です」、「まず」「初めに」のように、どちらか一方に統一しましょう。
使いがちな二重表現を挙げます。
×:被害を被る 〇:被害を受ける 〇:損害を被る ×:犯罪を犯す 〇:罪を犯す ×:内定が決まる 〇:採用が内定する ×:過半数を超える 〇:過半数に達する
一見「どこが二重なの?」と思いませんか?
聞き慣れているために間違いやすいので、気をつけて使いましょう。
下の記事では、曖昧な表現や二重表現など、冗長な表現の改善方法を解説しています。
簡潔に伝わる文章になりますので、あわせてご参考くださいね。
くわしく知りたい
【使いがちな8つの冗長表現】スッキリ改善!読みやすい文章にする方法
「ら抜き言葉」を使わない
「ら抜き言葉」は、可能の「られる」の「ら」が抜けた言葉です。
可能の「見られる」「食べられる」の言葉を「見れる」「食べれる」と表現することです。
「れる」「られる」のどちらを使うべきか迷ったときは、勧誘表現の「~よう」に言いかえると判断しやすくなります。
言いかえたときに「~よう」がつく動詞は、可能表現にすると「られる」がつきます。
例文で確認しましょう。
上着を着る 勧誘:上着を着よう 可能:上着を着られる
勧誘表現の「~よう」がつくので、可能表現は「られる」がつきます。
その反対に、勧誘表現の「~よう」がつかない動詞は、可能表現にするときに「れる」をつけます。
こちらも例文で確認しましょう。
この包丁はよく切ることができる 勧誘:この包丁を使って切……よう 可能:この包丁はよく切れる
切るの勧誘表現は「切ろう」なので「~よう」になりません。
そのため、可能表現は「れる」をつけます。
どちらにすべきか困ったときは、勧誘表現の「~よう」をつけて確認しましょう。
「ら抜き言葉」の見分け方をくわしく知りたい場合は、下の記事をご参考くださいね。
くわしく知りたい
「ら抜き言葉」は間違い!意味・見分け方・例をわかりやすく解説
「い抜き言葉」を使わない
「い抜き言葉」とは、正しい言葉から「い」が抜けた言葉のことです。
動詞の連用形に「い」をつけずに、言葉を省略して短くした表現です。
たとえば「話している」の意味を「話してる」と表現します。
い抜き言葉 | 正しい言葉 |
---|---|
歌ってる | 歌っている |
走ってます | 走っています |
入ってない | 入っていない |
痩せてきてる | 痩せてきている |
お世話になってます | お世話になっています |
「い抜き言葉」は日常会話で使うには問題ありませんが、公的な場での使用には適していません。
ビジネス文書や真面目を要する文章では、正確で明確な表現をするために「い抜き言葉」を避けることが適切です。
そのため、文章を書くときは、動詞の連用形に「い」をつけて正式な言葉であらわしましょう。
「さ入れ言葉」を使わない
丁寧に伝えようとして逆効果になるのが「さ入れ言葉」で、改まったシーンで誤用されることが多いです。
「さ入れ言葉」とは、本来「さ」を入れない箇所で「さ」を加えて表現する言葉をいいます。
たとえば「休ませていただきます」を「休まさせていただきます」のように使います。
一見すると丁寧に感じる言葉ですが、間延びした印象をあたえる誤った使い方です。
さ入れ言葉 | 正しい言葉 |
---|---|
読まさせていただきます | 読ませていただきます |
書かさせていただきます | 書かせていただきます |
手伝わさせてください | 手伝わせてください |
終わらさせていただきます | 終わらせていただきます |
伺わさせていただきます | 伺います |
「さ入れ言葉」の「させていただく」は、五段活用の動詞に「さ」を入れて表現した言葉です。
「さ入れ言葉」になっているか?いないか?を調べるには「さ」を抜いて音読すると確認できます。
検討させてください ↓ ?:検討せてください
食べさせていただく ↓ ?:食べせていただく
「さ」を抜くと文章が成り立たないので「さ」を入れる必要があると判断できます。
「~していただく」の言葉を使うときは、上の方法を用いて「さ」を入れるのか入れないのかをしっかりと確認しましょう。
「れ足す言葉」を使わない
「れ足す言葉は」は、可能動詞に「れ」をつけ足した言葉のことです。
「ら抜き言葉」や「れ足す言葉」は、岡山や高知などの一部の地域で方言として用いられています。
地域の言葉が全国へと広がり、広く使われるようになったとも言われています。
れ足す言葉 | 正しい言葉 |
---|---|
書けれる | 書ける |
行けれる | 行ける |
飲めれる | 飲める |
読めれる | 読めれる |
飛べれる | 飛べる |
「れ足す言葉」を見分けるときは「ら抜き言葉」と同じく、勧誘表現の「~よう」に言いかえて判断します。
勧誘表現に言いかえたときに「よう」がつく動詞は「られる」がつくため「れ足す言葉」になりません。
◆ 勧誘表現「よう」がつく動詞 見る→見よう→見られる 食べる→食べよう→食べられる 生きる→生きよう→生きられる 来る→来よう→来られる
また「ろう」がつく動詞も「れる」がつくので「れ足す言葉」になりません。
◆ 勧誘表現「ろう」がつく動詞 切る→切ろう→切れる 走る→走ろう→走れる 終わる→終わろう→終われる
しかし、勧誘表現に言いかえたときに「よう・ろう以外」がつく動詞は「れ足す言葉」になる可能性があるので注意が必要です。
◆ 勧誘表現「よう・ろう以外」がつく動詞 書く→書こう→書けれる(正:書ける) 行く→行こう→行けれる(正:行ける) 飲む→飲もう→飲めれる(正:飲める) 読む→読もう→読めれる(正:読める) 飛ぶ→飛ぼう→飛べれる(正:飛べる)
「れ足す言葉」は「ない」の否定形を使うときに、間違った表現になることが多いです。
行く→行こう→行けれない(正:行けない) 飲める→飲もう→飲めれない(正:飲めない)
はじめは違和感を覚えても、使ううちに誤った表現に慣れてしまいます。
日頃から、正しい表現を使うよう心がけましょう。
「なので」を正しく使う
「なので」は接続詞として文頭では使えない表現です。
「なので」の正しい使い方は「桜がきれいなので眺めていた」のように、前の文と後ろの文をつなげるときに使う方法です。
「なので」を接続詞として使う場合は「ですので」や「そこで」を使いましょう。
例文を見てみましょう。
×:原因は不明だ。なので、会議を開いた。 ↓ 〇:原因は不明だ。そこで、会議を開いた。 〇:原因は不明でしたので、会議を開いた。
上の「×」の例文のように「なので」は文の冒頭に使えません。
前の文と後ろの文をつなげて「ので」を用いるか、文を2つに分けて適切な接続詞「そこで」を入れましょう。
本来の意味と異なる言葉を使わない
本来の意味とは異なる意味で用いる「話し言葉」があります。
重なることを「かぶる」夢中になることを「はまる」という意味で用いる言葉です。
これらの言葉を使うときは、異なる意味になるので使わないように注意しましょう。
ほかにも、つぎのような言葉に気をつけます。
これらを用いた例文を見てみましょう。
◆ かぶる ×:予約がかぶるため、日にちを変えましょう ↓ 〇:予約が重なるため、日にちを変えましょう ◆ はまる ×:源氏物語にはまっています ↓ 〇:源氏物語に夢中です 〇:源氏物語に熱中しています ◆ 自然と ×:自然とふるまう ↓ 〇:自然にふるまう ◆ 濃い ×:一生分の濃い経験をしました ↓ 〇:生分の充実した経験をしました ◆ そこまで ×:そこまで言うなら仕方がない ↓ 〇:それほど言うなら仕方がない
内容を正確に伝えるためにも、本来の意味を持った正しい言葉に置きかえましょう。
「話し言葉」と「書き言葉」の一覧
「話し言葉」と「書き言葉」を一覧にしました。
文章でどちらを使うべきか迷ったときに、ご活用くださいね。
量や頻度をあらわす言葉
話し言葉 | 書き言葉 |
---|---|
たくさん | 多く |
いっぱい | 多い |
ちょっと | 少し |
もっと | さらに |
だんだん | 次第に |
やっと | ようやく |
程度をあらわす言葉
話し言葉 | 書き言葉 |
---|---|
とても | 非常に |
すごく | きわめて |
一番 | 最も |
絶対に | 必ず |
いつも | 常に |
ちゃんと | きちんと |
多分 | おそらく |
だいたい | おおよそ 約 |
一応 | 念のため |
やっぱり | やはり |
指示や選択をする言葉
話し言葉 | 書き言葉 |
---|---|
こっち そっち | こちら そちら |
こんな | このような |
そういう | そのような |
いろんな | さまざまな |
どっち | どちら いずれ |
さっき | さきほど |
~とか | ~や |
いい文です | よい文です |
問題ないです | 問題ありません |
じゃない | ではありません |
接続詞
話し言葉 | 書き言葉 |
---|---|
でも | しかし |
だけど | だが けれども |
だから | そのため |
「話し言葉」と「書き言葉」の違いを知ると「いろんな言葉」を見かけたときに、すぐに「さまざまな言葉」と直せるようになります。
読みやすい文章になり、記事の質が高まるので、意識して正しい書き言葉に置きかえましょう。
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おさらい:「話し言葉」と「書き言葉」の正しい使い分け
「話し言葉」と「書き言葉」は伝える内容と相手、手段にあわせて適切に使い分けることが大切です。
「話し言葉」と「書き言葉」の使い分け
話し言葉 | 書き言葉 |
---|---|
私的なブログ SNS エッセイ | 記事 |
キャッチコピー | 新聞 |
私的なメール | ビジネスメール ビジネス文書 |
会話文 | レーポート 論文 |
解説文や記事などの公的な文章では「書き言葉」を使います。
そのうえで、読者層にあわせて「話し言葉」を使うと効果的です。
「話し言葉」と「書き言葉」は気づかないうちに混じり合います。
上の8つに注意して「書き言葉」を正しく使いましょう。
また、読みやすい文章にするには、漢字とひらがなのバランスを考えることも重要です。
漢字とひらがなの使い分けは、下の記事で解説していますので、あわせてご覧くださいね。
おしまいに
論文や新聞記事には「だ・である調」が多く使われます。
それは「だ・である調」は書き言葉であり「です・ます調」は話し言葉だからです。
わたしは、今回はじめて知りました。
教科書で習う言葉が「です・ます調」なので「書き言葉」だと勘違いしますよね。
正しくは「です・ます調」は「話し言葉」です。
間違いやすいので、発注先によく確認して執筆しましょう。
最後までお読みいただきまして、ありがとうございます。
それでは、ごきげんよう。
桜御前